キバネツノトンボの産卵から孵化後の幼虫 兵庫県姫路市 2018年 | 昆虫漂流記

昆虫漂流記

西日本を中心に昆虫を追いかけています。✌
東へ西へ、過去に未来に昆虫求めて漂流していますが、
近年は、昆虫だけにとらわれず、自然全体から、
観察する眼を持ちたいと思いますのでよろしくお願いします。

キバネツノトンボの産卵から孵化後の幼虫 

兵庫県姫路市 2018年

 

以前に4月から5月にかけて撮影しましたキバネツノトンボの紹介をさせて頂きましたが、

キバネツノトンボ飛翔捕食 兵庫県姫路市 2018年4月5月(前回記事)

今回はそこから2~3㎞離れた生息地で卵と幼虫の撮影が出来ましたので紹介したいと思います。

 

最初に、ここは私が見つけた生息地ではありません。
私がトンボについて色々教わっている御方(東輝弥氏・関西トンボ談話会)が見つけられた場所になります。
「以前に産卵している個体を見つけているよ!」

「そろそろ孵化して、卵と幼虫が観察できるよ!」
「写真を撮りにいきますか?」
わたくし、2つ返事で

「お願いします」

 

電話で場所を教わり、探しに出かけたのですが、1度目は私の力では見つける事が出来ませんでした。
再びポイントを聞き直す事になり、産卵された周辺の草を踏み倒してもらっておく事で見つける事ができました。


産卵に使われた植物は、国内に広く分布が見られるハギ属のメドハギです。
日当たりが良く、風が強く吹き抜ける草地の中で
昨年夏の間に大きく育って木質化し、冬の間に立ち枯れになったものを利用しているようです。
産卵されているのは50センチ以下の膝下の高さ。

兵庫県姫路市にて 東輝弥氏撮影

この写真の状況を観察されて、当地の産卵行動に気が付かれたとお聞きしました。

 

兵庫県姫路市にて 東輝弥氏撮影

キバネツノトンボがそのまま絶命している姿

何が原因でこんな姿になったのでしょうか?

「モズのはやにえ」とも違うようです。

 

産卵されて日数が経過していない卵は透明感があるように思います。

 

兵庫県姫路市にて 東輝弥氏撮影

数日後にはこのような色に変化して、孵化を待つようです。

枯れ枝と同系色に卵が変化する事で見つけられにくくなっているのでしょうか?

それとも、卵がこんな色に変わるので、枯れ枝に産卵するのでしょうか?

どちらにせよ、カモフラージュになっている事には間違いないようですね。


何度も辺りを探して見ましたが

100坪ほどの草地の中で1メートル四方の区域内でのみに数個の卵塊が見つかっただけです。

通常、このサイズのウスバカゲロウの仲間であればアリジゴクと呼ばれるすり鉢状の巣を持ち、

其処に落ちる小動物などを餌にするのですが、

この種は前記したような巣を持たないとされ、

幼虫は堆積土壌や石の下で小動物を餌にしていると云われています。


また幼虫は色彩も土壌の色に似ていて余りに小さい為に堆積土壌に紛れてしまえば、

見つけるのは不可能に近いと思います。

卵でさえも小さなうえ色もカモフラージュされているので
産卵中の成虫から卵の位置を確認しておき、後日孵化したての幼虫を見つけなければようです。
ちなみに卵の大きさ1~2ミリ、
幼虫の大きさ3~4㍉です。

兵庫県姫路市にて 東輝弥氏撮影

羽化が始まったようです。

 

兵庫県姫路市にて 東輝弥氏撮影

偶然に手の上に落ちてきた個体があり、

軍手の滑り止めのゴムの粒と大きさを比べられたと聞いています。

かなり小さい事が判ると思います。

 

兵庫県姫路市にて  てんとうむし撮影

東輝弥氏より情報を頂き

すぐさま撮影した写真です。

 

この日は見てのとおり多くの個体が確認出来ましたが

次の日には同じ卵塊ではありますが、幼虫の姿はもうほぼ見られません。

兵庫県姫路市にて  てんとうむし撮影
翌日にはこの卵塊には

1幼虫と未だ羽化していない数個の卵のみが残っていただけでした。

頭部背側と胸部背側は無毛に近い事が判りますが、

ほぼ全身毛むくじゃらなのが判ります。

 

兵庫県姫路市にて  てんとうむし撮影

風が時々強く吹くので、ぶら下がった状態、落下する個体を度々観察しました。

この状態で雨が降れば、確実に落下するのは間違いないでしょう。

 

色々な文献では、幼虫が下に(土壌)に自ら降りると、書かれた物が多いのですが、

此処の個体の多くは落下する事で、土壌に降りる事が多いようです。

 

兵庫県姫路市にて  てんとうむし撮影
さらに同じ卵塊を翌日(最初の撮影からは3日目)に撮影しました。

最後の卵と、孵化し始めた卵の様子と幼虫の姿が見えています。

(幼虫は毎日入れ替わって別個体です)

この後、雨が強く降り始め、傘程度では対応出来なくなり、撮影を中止したので、

孵化の続きは撮影出来ませんでした

 

 

兵庫県姫路市にて  てんとうむし撮影

隣の立ち枯れで見られた別の卵塊です。

孵化直ぐには、まだ透き通っている事が判ります。

 

 

 

 

失礼ながら、最後での紹介になりますが

先日、長野県松本市でも、ブロ友「プラチナコガネ」さんがキバネツノトンボを見つけておられます。

成虫の活動時期でないと見つける事が出来ませんが、

普段から、どんな昆虫に対してもよく観察されているからこそ見つける事が出来たのだと思います。

 

 

 

前回のキバネツノトンボの記事の続きを更新する際より

今回のキバネツノトンボの記事を書くにあたり、

貴重な写真を提供して頂き、ブログ使用をして許可頂いた上に何かとご教示、ご支援いただきました、

トンボの研究者の東輝弥氏(関西トンボ談話会)には、心から感謝申し上げます。

 

 

なお、私「テントウムシ」の前回の

キバネツノトンボについての記事はこちらです。

キバネツノトンボ飛翔捕食 兵庫県姫路市 2018年4月5月」←クリック

 

これにて今年のキバネツノトンボについての記載は完了です