蚊取り豚と蚊の昆虫文化・蚊の防虫器具①
人々は、夏になると「蚊」への対策に、色々と悩み工夫してきた経緯がある。
今回はそんな、「蚊」と「人間」に関わる文化を取り上げてみようと思います。
一般に身近に存在している「やぶ蚊」と呼ばれているヤブカ属の吸血性の蚊。
生息域が、岩手、秋田県とされていましたが、現在は青森県でも確認されています。
非常に少量の水で発生し、ペットボトルのキャップ1~2杯(10㎖)あれば、卵から成虫まで約10〜15日で十分に羽化できますが、水たまりを無くせば発生を防ぐことが出来ます。
日本国では温暖化の影響でデング熱やジカウイルスなどの感染症を媒介する事が知られていますが、世界的には、西ナイル熱、チクングニア熱、黄熱などの感染症をも媒介する事が知られています。
近年は、本来生息していた東アジアだけでなく、輸入された古タイヤから北アメリカで繁殖し、ヨーロッパ、南アメリカ、アフリカなどの広い地域へと拡大しています。
本来は、熱帯・亜熱帯が生息の中心で温帯域が北限域でしたが、近年の温暖化で都会の公園では、冬の寒さで死滅する事なく、感染ウイルスを持った個体が越年できる可能性から、注意が必要とされています.
本来は、夏の風物詩ともいえる蚊取り線香から書き始めるべきですが、蚊取り線香関連を取り上げるだけで、「ブログ文字数制限」を超えてしまい、「蚊の防虫」と云う題目で二分割しなければいけなくなりました。その為、蚊取り線香関連に関する金鳥、アース製薬、フマキラーなどに関連する話は次のブログ更新に致します。
それでは、進めていきましょう。
蚊遣り器(かやりき)
蚊の対策に、「蚊取り線香」が使われる頃から入れ物が必要となったのが「蚊遣り器」と云われる「蚊取り線香入れ」です。
古い時代には、ブリキなどで作られていましたが、昭和の初めからは陶器で作られたものが多く出回りました。
外見を豚に似せたものが多い事から、「蚊遣り豚(かやりぶた)」とも一般に呼ばれます。
「蚊遣り豚」は、外見の愛嬌から可愛いだけと思われますが、豚に似せただけではなく、構造的にも容器内に設置した蚊取り線香を効率よく安定して燃焼させ、外からの風を防ぎ、使用後の灰の後始末も容易にできるようになっています。
蚊遣り器や蚊取り豚は、設置した蚊取り線香の火種が小さくても火気であることから、陶器や金属などの不燃性でなければいけない必要があります。
とりあえず色々な蚊遣り器を紹介しましょう。
陶器製の蚊取り豚
陶器製の蚊取り豚
陶器製の蚊取り豚
カッパ型の陶器製の蚊遣り器
カボチャ型でトンボが付いた陶器製の蚊遣り器
茄子型でバッタが付いた陶器製の蚊遣り器
香炉入れに似せた蚊遣り器
舟型の蚊遣り器
小物入れ、香炉型のような蚊遣り器
内外除虫菊株式会社
「月虎かとりせんこう(TSUKITORA Capsule)」
のレトロ蚊遣り器(線香立て)
和歌山県箕島町(現有田市)で操業の「内外除蟲菊株式会社」の「月虎印のかとりせん香」。
今は「中外除虫菊株式会社」で有田市新堂が所在地。
愛知県牛久保で作られた蚊燻器、中には棒状の蚊取り線香を入れる。
ブリキ製の蚊遣り器は、陶器と違い、かなり時代が古い。
古いタイプの棒形状(ステック型)蚊取り線香が、何故渦巻き状に変更されたのか?
と云うネットで紹介されている話で「仏具線香のように立てていると倒れて危険だから!」と云う書き込みがありますが、棒状の蚊取り線香は、立てて使うのではなく、上写真のような蚊燻器ともいわれた蚊遣り器に横に倒した状態で使用されます。
蚊帳(かや)
蚊などの害虫から人などを守るための網で、夏の暑い季節でも、風は通すが虫は入らない。
古くは、古代エジプト文明後期のクレオパトラが使用していた話もあるが、日本で庶民が使用していたのは江戸時代になる。
当時は浮世絵にも描かれた「蚊帳売り」という販売も行われていた。
五渡亭国貞(三代目歌川豊国)
「蚊帳を持つ役者絵」五渡亭国貞(三代目歌川豊国)
昭和初期の蚊帳

昭和初期(戦前)の蚊帳製品の包装紙。
頭からかぶるタイプの露営で使われるタイプ。商工省(現在の経済産業省)認定の製品番号シールが貼られているので時代が推察できる。(商工省は、日本の行政機関(中央省庁)に、1925(大正14)年から1943(昭和18)年、および1945(昭和20)年から1949(昭和24)年まで存在しました

近代日本画の大家である上村松園が描がいた「蛍」(ほたる)。
江戸時代の俳句から着想を得て、浴衣姿の女性が蚊帳(かや)を吊っている夕涼みの様子を描いている。
1913年の文部省美術展覧会で三等賞を受賞した美人画です。

賀野神社(かやじんじゃ)
兵庫県の播磨の国風土記(西暦715年頃)によると、西暦363年~403年に第15代応神天皇が巡幸された際に、此処に屋形(宮殿)をつくり「蚊帳」を貼られました。其処でその地を加野と名付け、高くそびえる岩山の加野山(現在の雪彦山)の鉾立山に社殿をたてたのが賀野神社の始まりとされています。(雪彦山=日本三彦山の一つ。九州の英彦山、新潟の弥彦山)

狂言面「空吹(うそぶき)」
蚊(か)の精(せい)、蛸(たこ)の精、罪人、案山子(かかし)など幅広い役柄に用いる能面。眉やひげに毛を植えて口をすぼめる姿が特徴で、伎楽面(ぎがくめん)や舞楽面(ぶがくめん)、田楽(でんがく)、猿楽(さるがく)にも使われたようだ。

江戸時代の風刺図
「洗濯所のノミ・シラミ
蚊どもへ
御中 出(出現)の事
並び
虫3種類の仲間より
洗濯所より願い出る事」
(洗濯所に出現するノミ・シラミ・蚊どもへ、3種類の仲間は洗濯所より出ていく事)

FAIRY TAIL(フェアリーテイル)とも云われるおとぎ話や童話に出てくる馬車をモチーフにした「ギフトボックス」でもある装飾品。通常は、馬車を引くのは、蚊ではなくて白馬なのだが~。
馬車の中に小さなお菓子などを入れてある洒落たデザイン。
蚊(マラリヤ)の撲滅キャンペーンで発行された世界の切手。


1960年にインドネシアで発行された「世界保健デー」を記念するマラリア撲滅の切手

1962年に中華民国(台湾)で発行された「世界抗マラリア記念」の郵便切手

上の2枚の切手から1枚を拡大

1962年に発行された「国際マラリア撲滅事業記念」の琉球切手です。
当時アメリカ統治下の沖縄で発行された。

上の2枚の切手から1枚を拡大

1963年にアフガニスタンで発行されたマラリア撲滅をテーマにした切手
1963年にシャルジャおよび従属領(現在のUAEの一部)で発行された「マラリア撲滅キャンペーン」をテーマにした記念切手
上の3枚の切手から、1枚を拡大

1962年にチェコスロバキアで発行されたマラリア根絶キャンペーンの郵便切手

1962年にユーゴスラビアで発行された「マラリア撲滅キャンペーン」をテーマにした記念切手

1962年ポーランドで発行されたマラリア撲滅キャンペーンの記念切手

1978年頃のポーランド「第4回国際寄生虫学会議」で、アノフェレス蚊を描かれた切手

1970年にルワンダ共和国から発行された、マラリアの治療薬であるキニーネの発見150周年を記念する切手らしい
1981年にキューバで発行された切手。
黄熱病が蚊(ネッタイシマカ)によって媒介されることを発見したキューバの医師「カルロス・J・フィンレイ」の生誕100周年記念切手。
最後に、今回紹介したレトロ製品は、私の師匠の赤松の郷昆虫文化館館長の所蔵のコレクションを、当方が撮影しています。
師匠の赤松の郷文化昆虫館(現在休館中・セキュリティ完備)のコレクションが、世間に知られるように取り上げてみましたが、各レトロ品についての説明書はありませんので、私が年代や説明文などを調べました。
間違いがあれば、ご了承の程よろしくお願いします。
























