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昆虫漂流記

西日本を中心に昆虫を追いかけています。✌
東へ西へ、過去に未来に昆虫求めて漂流していますが、
近年は、昆虫だけにとらわれず、自然全体から、
観察する眼を持ちたいと思いますのでよろしくお願いします。

ミンミンゼミ

兵庫県姫路市 平野部 荒川山塊

2024年8月10日~

左右の個体とも標本です。

 

兵庫県の播磨平野では、梅雨が終わった頃からニイニイゼミ、アブラゼミ、クマゼミの順に鳴き声が聞こえてきます。
夏も8月に入ると、クマゼミやアブラゼミは命も終盤になり、ミンミンゼミとツクツクボウシの声が大きくなってきます。
さて今回は普通の標準型のミンミンゼミを題材に取り上げます。

通常ミンミンゼミは北海道南部から九州と対馬、甑島列島に見られ、7月から9月に声を聞く事が出来ます。

ミンミンゼミは対馬では赤色系のミンミンゼミ、山梨県や山形県の飛島、新潟県の粟島では緑色系統のミカド型(ミカドミンミン)と呼ばれる変異型が標準型に混ざって見つかるのが知られているようですが、今回はそんな憧れるようなブランドゼミ?の話ではありません。(残念ながらミカドミンミンの標本を保持していないので、紹介できません(笑))

 

中国大陸や韓国に住むミンミンゼミは日本のミンミンゼミとは少し鳴き方が違う事が知られていて、これを「蝉の方言」と云われています。今は検索するとYouTubeなどで韓国のミンミンゼミの鳴き声を皆さんも耳にする事が出来ますよ。私も検索したところでは日本国内のミンミンゼミは「ミ~ン・ミン・ミン・ミ~」と鳴くのですが、韓国では「ジッ・ミン・ミン・ミン・ミ~」っと最初の「ミ~ン」の声をのばす処がありません。此処に違いがあるようです。


日本では一般的には、アブラゼミ、クマゼミ、ツクツクボウシなどは、平野部の公園などで見られる蝉類に対してミンミンゼミは森林性のセミと文献などでは云われています。
しかしながら東日本と西日本ではその生息域に違いが見られているようで、東日本では平野部の森林や都市部の公園でも見られますが、西日本では少し大きめの山塊や標高がやや高い地域などを好んで生息している傾向があります。


兵庫県南西部の播磨平野では、クマゼミやアブラゼミの個体数は多いのですが、平野部の公園ではミンミンゼミの声を聞く事がほぼありません。平野部では山塊があり地域や、北部の山の地域に行くほど増えてきます。

この地図の山の説明は下記リンクにて紹介しています。

マメキシタバ・アミメキシタバ 兵庫県姫路市 平野部 荒川山塊


此処の荒川山塊では何処からかアブラゼミの声の合間に「ミ~ン・ミン・ミン・ミン・ミ~」と少ない声ながらも遠くから聞こえてきます。



 

 

今回は初心に帰る!

つまり自分の住む地域の昆虫を知るのも大事ですから!という訳で、身の回りでミンミンゼミ探しを始めました。
身の回りのたわいない地域には、
どんな姿のミンミンゼミが生きているのか?変異があるのか?
子供の頃に昆虫採集で捕まえた事はありますが、そこまで見比べた事が無かったね~!という反省でのミンミンゼミです。

下の写真は特異な変異型ではなく、標準型を比べています。

全て生きている個体を、布団綿の上にとまらせて撮影しています。

♀表背面 緑の面積が少し多めで一部分に赤みがある。

裏面は緑が全体的に拡がる。

 

♀表背面 全国的によく見られる通常の標準型で斑紋の色は濃緑系。

裏面は標準の色合い。

 

♀表背面 全国的によく見られる標準型で斑紋の色は薄緑系

裏面は標準の色合い

 

♂表背面 標準型よりも緑色の面積が多い。

裏面は全体的に緑色が拡がる。(下記の資料Bの個体)

 

♂表背面 少し緑が拡がる中間型。頭に近くなるほど少し赤みを帯びる。

裏面は薄緑色が拡がる (下記の資料Aの個体)

 

♂表背面 全国的によく見られる標準型

裏面も標準型

 

♂表背面 此方も全国的にみられる標準型

裏面も標準型。(下記の資料Cの個体)

最後の2匹はどちらも標準型ですが、よく見ると少し色合いが違うような雰囲気が~!

気のせいかな?

 

上の写真は、同日、同場所で採集を行った色合いが一番遠い個体を並べてみました。

一般的な産地でもこのような違いが見られました。

(これは死んで間もない標本作成中の個体で比べています)

 

セミを得意とするブロ友さんの東京の友人の話では、セミも生きてる時と、標本にした時では色合いが変わるよ!

そんな良いアドバイスも頂きましたので、生きている姿で撮影して比べてみます。

 

さて標本も完成しましたので標本でも比べてみましょう

生きていた時に撮影した上の個体を標本にして色変わりを比べています。

左から上に記した資料A,資料B,資料Cの個体です。

資料Aの個体は、完全に赤いミンミンゼミに変貌しています。

資料Bの緑のミンミンゼミも緑の鮮やかさが無くなっています。

資料Cの個体は始めから黒色面積が多かったので変化が少ないです。

 

資料Aの生きていた時に緑の面積が多く、少し赤色を帯びた個体は、標本化で赤色に変わる傾向があるのかもしれません。