小泉さん! いま安倍降ろしはないでしょう

JBpress 2018/04/30 06:00

清勇

©AFP PHOTO / Toshifumi KITAMURA AFPBB News 都内の新宿御苑で開催された「桜を見る会」に出席した安倍晋三首相と昭恵夫人(2018421日撮影)。

中曽根康弘元首相に議員引退勧告を出した張本人は小泉純一郎首相(当時)であった。

 その小泉氏が高齢になり、しかも議員でもない今日、安倍晋三政権(の倒閣意図であろうが)を批判する姿は本人の美学に反するであろうし、それ以上に民主主義の根幹にかかわり、また国益も害する。

 米国の民主主義がすべてにおいて良いわけではないが、大統領を退いた後は指導者時代の言動をはじめ、映像やテープなど、ありとあらゆる関連資料を取集して自身の名を冠した図書館などを建立し、また著作などに専念して後世の研究者に役立つ努力を惜しまない点は称賛に値する。現指導者に余計な口出しもしない。

 そうした点から見る限り、日本の歴代首相には自身が国家の運営に関わり、国内外情勢とのかかわりでいかに状況を判断し、決断し、行動したかなどを自分自身で回顧し、後世に資する姿勢は見られない。

 また、米国では大統領経験者が党派を超えて協力し、国家の難局に立ち向かう「プレジデント・クラブ」があり、成果を上げてきたとされる。

 戦後最大の転換点を迎えようとする国際情勢は、日本にも大きな影響をもたらす。今ほど世界を俯瞰した指導者が日本に求められる時はない。

 日米同盟に日本存続の重心を置く日本において、その真価を発揮できるのはドナルド・トランプ大統領と格別の信頼を確立してきた安倍晋三氏以外にない。

 そうした状況を一顧だにせず、政局にして安倍首相に引導を渡そうとする小泉氏の心が理解できない。なお、小泉氏の独善的行動については、以下のJBpress論文で、筆者の意見を開陳している。

「大局観を欠く小泉氏の『即原発ゼロ』発言と行動自民党の団結を乱し、安倍政治にブレーキをかける危惧」

「濡れ衣で安倍政権を倒して日本沈没を望むのかいまこそ地球儀外交の力を発揮すべきとき」

「日報問題は『文民統制』を理解しない政治家の責任パッション政治が自衛隊に混乱をもたらしている元凶だ」

 

平成の笛吹き男

  小泉首相(在任20014月~20069月)はブッシュ大統領(息子、在任20011月~20091月)と馬があったばかりに、皮肉にも米国の要求に対して「100点満点の回答を出さざるを得ない状況」を作り出してしまったと、原田武夫氏は『仕掛け、壊し、奪い去るアメリカの論理』で述べている。

 (以下略)

 

庶民の生活が見えない小泉氏

 

 東日本大震災後の原発の停止で家庭用電気料金は平均で最大時は25%値上がりした。

 こうしたことが国民生活に与える影響について、請われて政府機関の委員会で話した常葉大学経営学部教授の山本隆三氏に対し、委員の1人から「月当たり1000円とか2000円の電気料金値上がりは大した問題ではない」という趣旨の発言があったという(「『貧困』をもたらした元首相二人の責任」、『WiLL20179月号所収)。

 (以下略)

 

主権在米経済の郵政民営化

 

 「民にできることは民に」と叫び、いかにも自分の発想ででもあるかのようにカムフラージュして、米国が命ずるままに郵政を民営化して国益の大なる棄損をもたらしている。

 何よりも日本の良き慣行であった終身雇用や年功序列を弊履のごとく廃棄し、日本社会の安定を喪失させたのがほかならぬ小泉氏である。

 (以下略)

 

 おわりに

  小泉純一郎元首相は、自民党の二階俊博幹事長、山崎拓元副総裁、武部勤元幹事長、小池百合子東京都知事らと418日夜、東京都内で会食した。

 ここで、森友・加計疑惑や財務事務次官セクハラ問題などで火だるまになっている安倍晋三首相の政権運営、9月の総裁選について意見交換したとされる。

 それより1週間前の11日、55分にわたって週刊朝日の独占インタビューを受け、その全文が、27日号に掲載された。

 「小泉純一郎氏 ついに安倍首相に引導を渡した」の掲題で、「もう引き際だ」「3選はないね」「バレてる嘘をぬけぬけと」などのつぶやきが激白として書かれている。

 しかし、内容は昼の高齢婦人相手のワイドショーで語られる程度のことばかりで、国際情勢を一顧だにしていないことや、長期政権を確立して国際社会のリーダーを目指す群雄が割拠する中に伍していける指導者などに触れることもなく、推測や憶測などからくることばかりでしかない。

 小川榮太郎氏は「肌通じた外圧の痛覚を取り戻せ」(「産経新聞」平成3044日付「正論」)で、「今も、世界は『非合理な情念』に満ちてゐる」としたうえで、「中国の国威発揚と日本圧服への情念、北朝鮮による核・長距離ミサイル開発、露のプーチン氏4――強力で反日・侮日的な軍事独裁政権が日本の近海に勢揃ひした」と現状を分析・披歴する。

 そして「その最中、日本では安定してゐた安倍政権が森友・加計問題での一部メディア発の倒閣運動で、苦戦を強ひられてゐる」と困った現実を指摘する。

 小川氏ばかりではない。国際社会に真摯に向き合い、歴史に学んでいる識者は、「いま」を幕末と大東亜戦争に匹敵する状況とみており、よほどの識見がないと乗り切れないとみている。

 福澤諭吉の「智戦」の時である。それには、地球を俯瞰し、世界のリーダーと渡り合ってきた実績を持つ指導者が今しばらくは必要であろう。

 

今が一番大切な時!