転職支援をしている斉藤です。
イヤな上司や同僚と働くサラリーマンにとって独立開業という文字は、まるで全てのストレスから解放されるかのような幻想を抱いてしまいます。
私も、勇気を出して独立開業してみましたが…
計画とは違う出費がかさなり、運転資金が底をつきそうになった月には、サラリーマンのほうが良かったかな?なんて色々思ってしまうことがあります。
運転資金返済のために旅行や外食も控え、子供が欲しがっているゲームもさえ買ってやれない。今は本当に家族には申し訳ない気持ちで一杯です。 そう語るKさん44歳は元脱サラした素人農家。借金はそのときにつくったものだという。
職場でイジめられて早10年のリーマン
長年、営業職としてサラリーマンをしていたんですが、私だけずば抜けて成績がよくって、同僚達から陰湿なイジめを受けてきたんです。聞けば、10年以上もイジめられてきたと彼は言う。
デスクの文房具がなくなったり、椅子に押ピンが置かれていたりするのは日常茶飯事だったと彼は言うが、私は「 小学生かお前らは!! 」と元同僚達に突っ込みたくなってしまった。
そのうちイジめもエスカレートしてきて、取引先の奥さんと不倫しているとか、会社の金を横領しているとか、シャレにならないような噂を流されるようになっていったといいます。
「 さすがに、精神的に参ってしまって、精神科に通って薬を飲み続けていました。 」しかも、彼をイジメ続けて来た影の司令塔が、一番仲のよかった同期のKだったことに、彼の精神は完全に崩壊してしまったという。
「 Kを告発しようと準備していましたが、事情を掴んだ社長に『 退職金を倍出すから、ゆっくり静養しろよ 』と言われついつい退職届を提出してしまった 」という。
思わぬ退職金を手にした彼がとった行動
思わぬ資金を手にした彼は、なんのノウハウも持たないまま農業を営む事業所を立ち上げてしまう。「 趣味で家庭菜園をやっていましたから 」と彼は言うが、農業を少し舐め過ぎてはいないかい?と私は突っ込んでしまった。
運よく元農家のパートさんを4人雇えてしまった彼は、奇跡的に順調に売り上げを伸ばしていってしまう。年収がサラリーマンをやっていた時の倍近くに跳ね上がったというのだ。
「 こんなに簡単にいくとは思ってなかったんですが、ついつい欲が出て過剰投資をしてしまった 」ボロい農業に味を占めてしまった彼は、なんと4000万円かけて設備投資をしてしまったという。
銀行だけでなく、退職金や、親戚親兄弟にも借金してしまったらしい。借金して農地を4倍にすれば、売上が4倍になり借金なんて一瞬で返せると考えてしまったそうだ。なんて楽天的な人だろうと思っていたら、彼の不幸ストーリーはここから始まるのでした。
追加投資したとたん不作が始まるという悲劇
借金までして土地や設備を広げた途端、突然不作が続き出し、結局6年前に農業をやめてしまった。しかし、土地やトラクターを処分しても借金は1500万円以上残ってしまった。
その後、転がるような転落人生を歩んだ彼は、今現在ビジネスホテルのアシスタントとしての仕事を得ることができたが、年収は約260万円でほぼ据え置き。Kさんの妻も家計を支えるべく、地元のスーパーでパートを始めた。
「 嫁のパート代を子供の養育費にあててギリギリやっていける状態です。実家暮らしで家賃負担がないのがせめてもの救いでした。年老いた妻の両親がが孫の面倒も見てくれるので私達は安心して働けます 」 というものの、今のペースで考えると借金をすべて返せるのは65歳になったときだという。
ホテルでは退社後もパート勤務する社員がほとんどだが、「 ライバルホテルの増加に伴い、売り上げが落ちており、ホテル倒産の噂さえあるんです 」と不安げに話す。 「 こんなことならイジメ続けられていたほうが全然マシだった 」と彼は言うが、過去には戻れない。
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職場でイジメられて農家として独立した40代リーマンの悲劇についてまとめてみましたがいかがでしたか?
人間関係という現実から目を背けて、独立しても自分の城を持っても、今度は運転資金の確保という厳しい現実がまっているのです。こう言ってしまうと、「 セミナーを受けると資金に困らなくなる 」なんて怪しいセミナーの人からまた勧誘を受けてしまいそうですが…
皆さんも騙されないようにしましょうね、「 甘い言葉には罠がある 」自営業は全て自己責任。転職支援をしている斉藤でした。