父の思い出
ふと…、49歳の若さで突然亡くなった父のことを思い出しました。
父は根っからの職人で、定番通り無口、真面目、融通がきかないといった気質の人でした。
若い頃の私は、そんな父が苦手で、こちらから会話をすることはほとんど無かったと思います。
ただ、父に対して強烈な印象を受けた事がありました。
私が幼い頃の話です。
ウチで飼っていた雑種の犬〝ペス″が夜中に妙な吠え方をしていたらしいのですが、
その後、すぐ近くの銭湯から出火し、大火事になったのです。
夜の火事は本当に恐ろしく、母や子供たちは、とにかく逃げようとしたと思います。
そんな時…
私の父が真っ先にしたことは
繋がれているペスのチェーン(紐?)をはずして
人間より先に逃がしてやったのです。
その火事は、私たちの家の目の前に住んでいる人の家を焼き、鎮火しました。
ただ、私たちは火の被害には遭いませんでしたが、消火活動のため家中水浸しでした。
私は今、父の亡くなった年齢をはるかに超えて生きています。
肩書もなにも無い真面目なだけの父でしたが、
緊急事態にとった父の行動には頭が下がります。
人間の咄嗟の行動に嘘はないと思います。
立派な父でした。
一方、放たれたペスは、近くの安全な所に身を潜めていたのでしょう。
火事がおさまり、夜が明けてから無事に帰って来ました。
遠い昔の思い出です。
