一番大事なのはキャッシュフロー。
JACジャパンには、部長として入社しましたが、いろいろとご配慮いただき、
初めから取締役会に出席させていただきました。
当時の取締役会では、必ず当時の経理マネージャーの小野さんが、P/L、B/S、
キャッシュフロー表、最近の支払いサイト表などを用意してくれました。
ここで一番学んだのは、キャッシュフローの重要性です。
当然、収益状況や財務状況の確認は必要なのですが、そんな事より会社にとって一番大事なのは
キャッシュフローだということを田崎さんに教えていただきました。
取締役会で、田崎さんが一番真剣になるのは、キャッシュフローと支払いサイトの話の時です。
他の話の時は、あまり発言もされず、黙って議論の推移を聞かれていましたが、
キャッシュフローと支払いサイトの件では、よく発言されました。
リクルートエイブリックでは、キャッシュフローや支払いサイトが話題になる事はなく、
それは管理部門の専管事項でしたし、万一、資金が足りなくなっても親会社のリクルートに
頼めば貸してくれるので、我々営業部隊はノータッチでも良かったわけです。
簡単に言うと、営業の事だけやっていれば良い環境だったわけです。
もっと言うと、経営の根幹にタッチしなくて良かった。
更に言うと、経営にはタッチできなかったわけです。
ですから、私は、このキャッシュフローや支払いサイトの話に触れた時に、
初めて経営を意識したと言っても良いと思います。
グロスプロフィット(粗利益)予算に対して、100%達成で推移した場合、90%の場合、80%の場合、
70%の場合というように、四種類程度のキャッシュフロー表が出て来て、
小野さん:「もし、70%のままで推移したら、3ヵ月後に預金が無くなります。」
ひろみさん:「神村君、武谷(たけや)君、営業の見通しはどうなの!!」
田崎さん:「本当に厳しいようなら、今の内に銀行にうまく話しておかないとね。
銀行はね、突然お金が無いなんて驚かしちゃ駄目だよ。
銀行は突然貸してくれというと、驚いて警戒するからね。」
そうですよね。
いくらP/Lが黒字でも、お金が無くなれば黒字倒産もあります。
田崎さん:「武谷(たけや)君、逆に万年赤字でも潰れない会社もあるんだよ
。
キャッシュフローさえ良ければ、赤字でも倒産しないんだ。」
このまま、営業部隊の達成率が悪ければ、会社にお金が無くなる。⇒銀行に借りなければいけない。
⇒無条件では貸してくれないので銀行折衝をうまくやらなければいけない。
銀行に頭を下げたくなければ、もっと業績を上げて、株式市場から直接資本調達した方が良い。
それから、支払いサイトに関しては、JACジャパンの場合は、
「入社後2週間以内にお支払いください。」
と、クライアントにお願いしておりました。
外資系企業は比較的のんでいただけるのですが、ドメドメの日本企業になると、ほとんどが、
「末締めの翌月末払い」なので、2週間以内というのは、かなりの交渉が必要です。
ただ、「そこを何とか特別に処理してください。」と交渉してました。
その結果、入社から入金までの平均日数が30日を切っていたと思います。
それでも、田崎さんは、おっしゃっていました。
田崎さん:「30日でも長すぎる。世界のエクセレントカンパニーと言われる会社は、
おしなべて支払いが早いんだよ。日本の会社は、ただの慣習にこだわって
支払いが遅すぎる。」
リクルートエイブリックでは、支払いサイトの交渉など、ほとんどしたことがなかったです。
交渉したのは、「手形で払いたい。」とか、「分割で払いたい。」という会社ぐらいかな。
そうすると必然的に入金は、60日後になります。
同じ額が入金されるにしても、振り込まれるのが1ヶ月も遅れてしまう。
その間に大きな金額の支払いがあったら・・・・・・・・。
大企業だから許されますが、自分で会社を経営するとしたら大問題です。
今、私は小さいながら経営をしていて、通常はキャッシュフローしか気にしていません。
JAC時代の経験が役に立っています。
田崎さん、ありがとうございました。
「経営はキャッシュフローだ!!」
合掌。
※弊社HP↓。
JACは個性派集団。その2
JACでは、なかなか波乱の出足です。
神村さんや私に対する反発から、人心が落ち着きません。
神村さん:「武谷(たけや)さんが入社すれば、必然的にA君とB君が辞めるのはわかってましたよ。
元々会社を大きくする事にNOという考えの人は合わないでしょう。」
私:「なぜ、自分の会社を大きくする事にNOなんですかね?」
神村さん:「自分に具体的なメリット
がないと思い込んでいるんでしょう?」
私:「コンサルタントを増員すれば、自分の分け前が減るとか?
自分のクライアントが減るとか? 自分が担当する登録者が減るとか?
」
神村さん:「そうです。
そうやない、と言ってるのに理解できないみたいです。」
私:「会社が大きくなって、売上や利益が増えれば、社員の給料も増えるという単純な話ですよね?」
神村さん:「武谷(たけや)さん、ここはリクルートじゃないんですよ!!
今の社員に同じレベルのモチベーションや理解力を求めるのは難しいです。
だから、我々がどんどん決めて、そっちに引っ張るしかないんです!!」
私:「まずは社員の話を聞くというスタンスでは駄目ですか?
話せばわかる人もいると思うんですが。」
神村さん:「聞くなとは言いませんが、聞きすぎると意思決定が遅くなりますよ
。
武谷(たけや)さんが、正しいと思っている事が、この業界では正しいに決まってるでしょう。
話す前から正解は武谷(たけや)さんの中にあるでしょう?
だから、武谷(たけや)さんに来てもらったんだから。
ゴチャゴチャ言う奴の事は気にしないで、二人でバンバンやりましょうよ!!」
私:「確かにそうですね。
リクルートみたいなボトムアップ式では無理ですね。
でも、マネジメントと社員との関係を大阪支店のように固めるのは容易じゃないですね。
社員の教育や入れ替えも必要ですね。
組織的に物事を考えられる人を増やさないと、どうにもなりませんね。」
神村さん:「バンバン採用しましょうよ!!
研修もしましょう!!
できる奴にやらせればいいんです。
できない奴にやらせたら駄目です。」
私:「しかし、東京は求人が多いから、佐原君や下芝君
のような優秀な人を採用するのは
難しいですよ。」
神村さん:「しかし、中には吉岡
みたいな奴もいますよ。」
私:「でもね、入社時点の給与条件とか考えると、そう簡単に東京では採用できませんよ。
新卒を採用すべきじゃないですか?
新卒なら最近人材ビジネス志望が増えているし、給与条件も問題にならないし、
リクルートエイブリックでも昔なら考えられないような優秀な学生
が応募してきますよ。」
神村さん:「確かに採用したいですけどね。
今のマネージャーに任せられますか?」
私:「大阪のマネージャーにしか任せられません。
すぐには無理でしょうが、近い将来の新卒採用もにらみながら、まずは、マネージャーの
レベルアップを図るしかないですね。」
昼も夜も、神村さんと、よくこんな話をしてました。
あの頃は大変だったけど、なつかしさもありますね。
当時と比較すると、立派な会社になりましたね。
私が辞めた後の、皆さんのご苦労の賜物です。
合掌。
※弊社HP↓。
JACは個性派集団。その1
私がJACジャパンに入社した2000年、既に業界では4位のポジションでした。
・売上 8億円弱。 *非公開ですが立派に利益も出ていた。
・社員数 40名ぐらい。
どっちも、当時のリクルートエイブリックの十分の一で、まだ、全体が見渡せる丁度良いサイズです。
全社員の顔と名前も一致しますし性格もわかる。
私は、当時の大西社長と神村取締役営業本部長
の部下として、東京第二営業部長と
大阪支店長とを兼務することになりました。
大西さんは、長年、大手外資系消費財メーカーの役員など歴任された方ですが、
人柄は大変きさくで暖かく人徳のある方です。
神村さんは、持ち前の強いリーダーシップを発揮し
、営業部隊の尻をたたいていました。
この時点では、東京の売上対大阪の売上が、「6対4」 ぐらいで大阪支店が大変頑張っていました。
大阪支店が社員数人の時代に、神村さんが大阪支店長として入社し、辣腕をふるって
アグレッシブな営業活動を展開し、どんどん大きくなったのです。
「JACは大阪に強い」という評判は、元々ここから来ています。
大阪支店は、神村さんのハードマネジメントによって、社員のモチベーションやスキルも、
東京を上回っていました。
そんな状況下、オーナーご夫妻から見れば、
「一体、東京は何やっとんねん!!
大阪みたいに、しゃんとすれば、もっと売上上がるんとちゃうか!!」
と思われるのは当然で、東京のてこ入れのために、神村さんを大阪から単身赴任で
呼び寄せたわけです。
ところが、そう簡単には行かないのが東京でした。
大阪支店は、既に神村イズムが徹底されていましたが、東京のコンサルタントはバラバラでした。
それぞれ強い個性を持ち、
「会社のために一丸となって目標を達成しよう!!」
などという空気は全く無く、むしろその逆で、あくまで自分のために仕事をするという雰囲気でした。
「信じるのは金と肉親と親友だけ」 みたいな雰囲気ですかね。
まさに、個人商店の集まりですか。
自分のために仕事をするのは当然ですが、グループ目標や全社目標に対するコミットメントが、
小さなサイズの組織なら、大きくなるためには絶対に必要です。
リクルートでは新卒時代から組織目標に対するコミットメントを徹底して要求されてきたので、
38歳で初転職の私にはカルチャーショックでした。
予想はしていたけれど、
「これほどまでに社風が違うのか・・・・・。」 という感じです。
当時の東京は、この点が業績の良い大阪支店とは大きく異なっていました。
だから、大西さん、神村さん
も苦労していたし、私も泣かされました。
上司と部下との信頼関係が無い中では、全てのコミュニケーションが一方通行になります。
当時のコンサルタントの皆さんは、我々を上司とも思っていなかったでしょう。
入社直後に象徴的な事が幾つかありました。
1 東京では、落下傘部隊のように外部から来た私の歓迎会など開かれない。
*役員メンバーでの歓迎会はもちろん大変丁重にしていただきました。
更に大阪支店では社員揃って催していただきました。
2 メンバーが退職する際の送別会にも呼ばれない。
3 指示命令が現場で無視され、更には、公然と、「貴方の方針には納得できないので
従いません。」などと言われる。
4 全く挨拶などしないメンバーも居る。
「これは手強いなー。
こっちも前職とは全く違うという認識でやらないと、こっちが追い出されるぞ。」
と思いました。
当然現在は、このような事は全く無くなり、きちんとした会社になっていますが、
私が入社した2000年のJACの東京は、こんな感じでした。
これじゃあ、東京の業績が伸びないのも当り前です。
マネジメントと社員との間の信頼関係をつくならければ、絶対に業績は上がらないですね。
これから試行錯誤が始まります。
「人生、いたるところに青山あり」
それを信じるしかないが、そんなに甘くないのも現実です。
合掌。
※弊社HP↓。