ファーイースト(極東地区)・ミーティング
現在のJACは、イギリス、シンガポール
、日本
、マレーシア
、インドネシア
、
タイ、中国
などで事業展開していますが、2000年当時のアジアの拠点は、
シンガポール、日本(東京・大阪)、マレーシアでした。
2000年、私が入社して初めてのファーイースト(極東地区)・ミーティングが東京で開かれました。
参加者は、田崎忠良チェアマン、田崎ひろみ会長、シンガポール法人社長、マレーシア法人社長、
それに加えて、日本の役員である大西さん、神村さん
、私の以上7名だったと思います。
ミーティングの目的は、各国の現状報告と今後の事業計画の発表、お互いの情報交換(何か協力して
やれる事はないか?)、そして親睦です。
私は国内の人材紹介業ばかり見て来たので、特に自由化が進んでいるシンガポールの事情は
参考になりました。
わずか300万人の人口の国に大変多くのエージェントが存在し、
仁義なき戦いを繰り広げているわけです。
求人の獲り合い、登録者の獲り合い、成功報酬のダンピング、更には、人材紹介コンサルタントの
引き抜き合いも大変激しいのです。
アデコなどは、シンガポールでは成功報酬 5%でやっているとか!!
ちょっと目を離していると、人材紹介コンサルタントも集団で同業他社に引き抜かれてしまいます。
年収が上がるとなれば、簡単に動いてしまう。
今の日本国内の競争より大変な状況があるのです。
そんな厳しい状況下、当時のJACシンガポールは高い市場シェアをキープして、アデコなどの
ダンピング競争にも引き込まれず、現地で最も高い15%ぐらいは課金しており、
毎年利益を出していました。
当時のグループでは、シンガポールと大阪が、毎年業績No.1を競っていました。
これは、20年ぐらい現地で社長を務めていらっしゃる落合さんの経営手腕が大きいと思います。
社員に対する配慮・ケアがきめ細かく、自由闊達な働きやすい風土をつくっていらっしゃる。
また、現地の日系コミュニティーでは、落合さんの事を知らない人は居ないぐらい有名で
トップセールスに努めています。
更に、日本にお越しになる時は、社長なのにエコノミークラス
で来られるという身奇麗さ。
シンガポールに戻られる時は、社員のために、たくさんのお土産を買われて帰られます。
社員はバカじゃないので、こんな落合さんをちゃんと見ていますから、離職率の高い
シンガポールでも、なかなか辞めないのです。
だから、業績も安定している。
私:「落合さん、20年もシンガポールに居たら、日本に帰る気がしないでしょう?」
落合さん:「いやー、帰りたいですよ。
あんな蒸し暑い所に一生は住めませんよ。
引退したら、故郷の宮崎でのんびり暮らします。」
との事です。
落合さん、私がシンガポールに旅行に行く際には、宜しくお願い致します。
合掌。
※弊社HP↓。
三歩進んで二歩下がる。
JACジャパンでの初めの2~3年は、まさに、「三歩進んで二歩下がる」の連続でした。
2000年から2002年ぐらいの時です。
原因は、一言で言えば、私の力不足です。
2000年2月に入社後、同年5月に取締役に就任し、更に11月に社長に就任しました。
社長就任と同時に、中長期経営計画を立てて、休日に当時の全マネージャーを集めて
発表しました。
大した経営計画ではないですが、これを作成するのに数ヶ月を要しました。
当然、経営理念、ビジョンや営業戦略的な事も書いてありましたが、要点は最後の1ページの
5ヵ年の売上・利益・人員計画でした。
上場するわけですから、かなりチャレンジングな計画でした。
概して数字と言うのは、一人歩きするものです。
ベクトルが一つにまとまっていないマネージャーや社員に対して、いきなり凄い計画を発表したら、
火に油を注ぐようなもので、更に社内のまとまりが悪くなりました。
これは、私の説明能力不足に原因があり、ちゃんと数字を裏付ける道筋を、
わかりやすく伝えられなかったということです。
それ以前に、マネージャーや社員との人間関係・信頼関係を築けていなかったですね。
やっぱり、人間は理屈じゃないから、好きか嫌いか
しかないでしょう。
「嫌い」という所まで行かなくても、「あの人、何を考えてるかわからない?」 というのがまずい。
好きでも嫌いでもいいから、「あの人は、良くも悪くもはっきりしてわかりやすい。」と思われる。
これが転職したばかりの、社歴の浅い会社では特に大事ですね。
人間関係が希薄だからこそ、わかりやすさが大事です。
リクルート時代は社歴も長いから、お互いの人柄もわかっていて、自分を周囲にわからせる
努力は必要なかった。
一方、JACでは、「どうせ話してもわからないだろうから時間の無駄だ。」 と、どこかで思っていた
かもしれません。自ら社員と距離を置いていました。
ほとんど本音の自分を出した記憶が無い。
その結果、求心力も無く、採用しても採用しても、同じぐらいの人数が辞めてしまう。
「これじゃあ、三歩進んで二歩どころか、2.5歩ぐらい下がってるね。」
なんて事を自虐的に話していました。
失敗談ばかり書いても仕方ないですね。
じゃあ、今やり直せるならどうするか?
1 現場でどろどろに、プレイングマネージャー、プレイング社長としてやる。
2 毎日、マネージャーや社員と飲みに行き、言いたい事を言う。
こうするしかないでしょう。
ベンチャー企業で理屈を捏ね回しても仕方ない。
その企業のステージや風土に応じたマネジメントがあるはず。
当時のJACでは、現場に下りて、どろどろにやるしかなかったでしょう。
大手からの天下り社長みたいな奴は必要なかったんです。
「ともかく具体的に動いてみるんだね
具体的に動けば 具体的な答が出るから」 みつを
合掌。
※弊社HP↓。
二つの紹介会社の登録者の属性の違い。
リクルートエイブリックからJACジャパンに転職して、まずは、JACジャパンのクライアントと
登録者の属性を調べました。
クライアント(求人企業)は、ほとんどダブっていました。
JACにある求人企業は、リクルートエイブリックにもほぼありました。
ただ、業界別と職種別の売上構成比は全く異なりました。
JACの特色は、金融、メディカル
、外資系消費財メーカー
の比率が高かったと思います。
全体的に外資系企業の売上シェアが高かった。
逆に、IT、電気・電子・化学メーカー
など、技術系分野の比率が低かった。
一方、登録者ファイルを2年分ぐらい見てみると、まず、四つの事に気がつきました。
1 英語ができる人材が多い。
⇒TOEIC800点・900点も数多く国際的な人材が多い。
2000年当時のリクルートエイブリックでは、700点以上の比率は10%程度だったと思いますが、
JACは30%程度だったと思います。
2 女性が多い。
⇒これは、英語ができる人材が多いとか、外資系勤務の方が多いとかにも関連していると思います。
2000年当時のリクルートエイブリックで20%程度だとすれば、40%ぐらいだったと思います。
3 外資金融やコンサルティング業界の人材が多い
。
⇒MBAホルダーも多い。年収が高い人が多い。
4 登録者の平均年齢が高い。ビジネススキルが高い人が多い。
⇒2000年当時のリクルートエイブリックの登録者の平均年齢が28歳だとすれば、34~35歳の
印象でした。*現状は存じません。
結果として、2000年当時のリクルートエイブリックの決定者の平均成功報酬が150~160万円
だったのに対して、170~180万円(金融は200万円以上)だったと思います。
意外と差が無いように思われるでしょうが、JACの秘書・アシスタントなどの女性決定者比率の高さを
考慮し、男性決定者だけの平均成功報酬を比較すれば、リクルートエイブリックが160万円程度で、
JACが180~190万円程度になったでしょう。
このJACジャパンの強みを更に強くする。
それが戦略として当り前ですよね。
少数精鋭で生産性を上げて、高い利益率をキープし、みんなで高額所得者になる。
これ実際にやってる会社もあるし、全然ありですね。
売上が20億、30億程度でいいなら、あくまで外資系中心でやってもいい。
ただ、2000年に、将来、会社を上場させる方針が決まりましたので、50億円、100億円
という売上が必要になりました。
そのため、外資系特化とか、金融・メディカル業界特化とかのニッチ戦略では難しくなってきました。
日本は外資系企業就業比率が、欧米先進国、いや東南アジア諸国と比較しても非常に低い国です。
確かホワイトカラー就労人口の5%程度しかなかった。
5%全部取っても、市場シェア7~8%止まりです。*外資系の流動性と給料の高さを考えても。
尚且つ、同じ市場で戦っている同業他社も多いので、この市場を独占するのは無理。
ということで、結論としては全包囲型、ブティック型でなくデパート型でやることになったのです。
その結果、当然ながら社員も数多く採用しなければならないし、支店も増やさなければならないし、
広告宣伝費も分散する。
このように先行投資が増えるので、しばらくは生産性の向上は難しく、既存のコンサルタントは
高級ブティックからスパーマーケットになったような感覚を覚え、年収も上がるわけではないので、
モチベーションが落ちます。
我慢できない人は、転職したり独立したりします。
これは一時期、仕方ないことでした。
走りたくないレールの上を走るのも、走ってもらうのも、お互いに楽しくない。
仕事は楽しくやらなきゃ。
当時は、私も若く無理して青筋立てて深刻にやってましたが、いろいろなレール、
いろいろな紹介会社があっていい。
選択肢は多いほど良い。
最後はクライアント やユーザー
が選びます。
選ばれる側は、選ばれるように努力するしかないですね。
合掌。
※弊社HP↓。