手を打つ | 店舗探し.comの過去コラム

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2012/4/19

 

右の掌と左の掌を打ち合わせる。
「パンッ」と大きな音がします。

 

さて、この音は右手が発したのか左手が発したのでしょうか?

 

どちらとも答えることができないこの禅問答は、協力の大切さ
を説くときに、しばしば使われます。

 

しかし、いくら大きな手と手を思い切り打ち合わせても、真空
中ではまったく音は鳴りません。
音を発するためには空気の存在が不可欠だということです。
空気を意識することなく無造作に打ち合わせた手からは、気の
抜けた音しか出ないのです。

 

抗争中のヤクザが、大物の仲裁で仲直りをすると'手打ち'とな
ります。

 

ディベロッパーとテナントとの賃料交渉もほど良きところで
'手を打’たないと、話がこじれてしまいます。

 

災害や事故が予想される場合には、事前に'手を打って'おく必
要があります。


いずれの場合も、手を打つことで区切りやけじめがつき、新た
な局面へと移行していきます。

 

机上で仮定した理論を実証するためには、塵ひとつない真空の
無菌室で実験を行います。
結果が理論通りであったとしても、環境状態が不安定な空気中
で実験したら、同じ結果が出るとは限りません。
むしろ、まったく異なる結果が出ることのほうが多いものです。

 

商談も同様です。

 

相手がしそうな行動を、電卓で計算でもするように機械的に想
定して、よしとするのは危険です。
場を支配する空気を敏感に察知し、場合によっては事前に想定
した行動を大胆に変更することで、結果的には“大きな音”を
打ち鳴らすことが出来るのです。

 

あるか無きかのかすかな匂いを嗅ぎとり、ほんのわずかな風の
そよぎにも反応する・・・。

 

空気を読んだあなたの的確な言動に、合点のいった相手は、
はたと手を打つでしょう。
商談成立で感激したあなたは、手を打って大喜びすることがで
きるのです。