出会いと心をかたちにする | 店舗探し.comの過去コラム

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2011/4/7

こんな時でも、時期が来れば桜は美しく咲き誇り、見惚れている
間にさっと散ってしまうのです。

残酷にも‘時'は、立ち止まったり歩みを遅くしてくれることは
決してありません。
‘時'は、私達を否応なく巻き込んで移ろい、儚い生の終わりに
向かって容赦なく歩を刻ませます。

「いけばな」は、ほんの一瞬にすぎない花の命の最高の一瞬を
切り取って、しばしの間、定着させる芸術です。

「どの花、どの枝、どの葉をどう活かし、余計なものをどう削ぎ
 落としていくのか。
 際限なくある選択肢から一つずつ自分で絞り込み、決め込んで
 いった結果が、目の前の一つの作品になる。
 一つの花がいけ上がるまでには、数え切れない決断を積み重ねて
 いるのです。」

これは草月流家元である勅使河原 茜さんの著書

『いけばな 出会いと心をかたちにする』(角川書店)

からの引用です。
積み重ねていく決断の中にはもちろん失敗もあります。しかし、

「私は、切りすぎて失敗して【やっぱりあったほうがよかった】
 ということを自分の眼で見て納得したら、もうそのことはくよ
 くよ考えません。時間を逆戻りすることはできないのですから、
 やってしまったことを後から悔やんでも仕方がない。

 むしろそのがっかりした気分をどう吹っ切るかが大事で、ここ
 からどんな美しさを引き出すことができるかを考えればいいの
 です。

 ・・・失敗をカバーしようとか、隠そうとするのではなく、
 その現実の上に立って、これをいいものにするにはどうしたら
 いいか、と考える。すると思いがけない展開が生まれてくるの
 です。」

私達の儚い命が尽きるまで、生きていなければ出来ないことを、
失敗を恐れずに果敢に挑戦する。
残された私達の使命ではないでしょうか。