これがお約束です。 | 店舗探し.comの過去コラム

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2010/3/17

 

インド映画では、舞踊シーンが、ストーリーと関係なくいきなり
登場することがあります。
しかし、その必然性を物語との因果関係で考えてはいけません。
美男美女の華麗な踊りにただ見とれて楽しめばいい。

 

・・・これが「お約束」です。
 
ありえないような悲劇喜劇が、次から次に襲ってくる韓流ドラマ
の、リアリティは深く追究しない。

 

・・・これが「お約束」です。
 
歌舞伎に登場する黒子が、針金を揺すって蝶々を飛ばしていると
き、観客はその黒子や針金は見えないものとして鑑賞する。

 

・・・これが「お約束」です。
 
水とおしぼりは客が自分で席まで運ぶ。
一人で切り盛りしているおばさんの手がふさがっているときは、
お金は開きっ放しのレジに支払い、釣りも自分で計算して取る。

 

・・・近所の喫茶店の「お約束」です。
 
「お約束」という言葉には、どこかほのぼのとしてお間抜けな
ニュアンスが漂います。
そして、「お約束」を守った当人は、どこか優しい気分になり、
癒しを実感するものなのです。
 
いちいち確認しているわけではありませんが、件の喫茶店で、
お金をちょろまかす客はほとんど居ないはずです。
それどころか、明らかにお釣りがあるはずなのに、レジに1000円
札を入れるだけで、そのまま釣りを取らずに黙って帰ってしまう
客なら、いくらも目撃したことがあります。
 
隙の無い仕組みを作るためには、疑うことを前提に設計する必要
があります。

信用されていないことを感じた相手が、身構えてしまったところ
から関係が出発しますから、打ち解けた関係を作り上げるまでに
は、時間も手間もかかることになります。
 
時代や状況が殺伐としていて、絶えず緊張感を強いられるストレ
ス社会にあっては、どこか脇が甘く、間が抜けている仕組みの方
が、むしろ有利なこともあるのではないでしょうか。

少々の隙間やバグにおおらかであれば、仕組みはシンプルでいい
のです。
費用負担も軽く済み、結果的には得をすることの方が多くなる
ような気がします。
 
まず相手を信じるところから発想する。

そんな哲学で、あらゆる仕組みをデザインしてみてはいかがで
しょうか。