『サイコパス ~秘められた能力』 | 店舗探し.comの過去コラム

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2014/1/28

何かの瞬間に、自分の中にぞっとするほどの冷酷さを認めて
自己嫌悪に陥る、そんな経験をお持ちの方はお読みになって
きっとホッとすることでしょう。

『サイコパス ~秘められた能力』
  ケヴィン・ダットン著 NHK出版

本書は、3年ほど前に『瞬間説得 ~その気にさせる究極の
方法』が話題となった著者によるものです。

サイコパスという言葉からはどんなことをイメージするで
しょう。

映画『羊たちの沈黙』をご覧になった方ならアンソニー・
ホプキンズが演じた、元精神科医にして連続猟奇殺人犯の
ハンニバル・レクターが真っ先に思い浮かぶのではないで
しょうか。

しかし、前著においてサイコパスを「究極の説得名人」と
した著者は、サイコパスの特徴を以下のように集約します。

1.非情さ
2.魅力
3.一点集中力
4.精神の強靭さ
5.恐怖心の欠如
6.マインドフルネス
7.行動力

サイコパス度が高いのは、なにも犯罪者ばかりではありません。
企業のCEO、弁護士、外科医、聖職者などには、サイコパス度
が高い人がとても多いのです。

1979年、フランスのサンセザール村付近の遺跡から発見された
3万6千年前の人骨の分析から、ネアンデルタール人のサイコパ
スが存在していたことも明らかになりました。

本書では、適者生存を実現するためには、遺伝子レベルの要請
としても、サイコパスが不可欠なのだろうと推測しています。

ゲーム理論で

「囚人のジレンマ」(☆↓)

の最善の戦略(最初は協調し以降は前回相手の出した手をその
まま出す“しっぺ返し”戦略)が示唆している通り、マクロ的
な調和とミクロ的な個人主義は、進化においては表裏一体だと
言います。

自然淘汰の監視役が、サイコパスに進化の聖域を与えたことと
同じく、自分の中にサイコパスがいるのも、また疑いようの
ない事実です。

日々の生活でも、時には理性的、合法的、そして自己保存の
ためになるように冷静に「突っ走る」ことが必要なときが、
誰にだってあるのですから。

☆参考 「囚人のジレンマ」問題

共同で犯罪を行ったと思われる囚人A、Bを自白させる為、警官
は2人に以下の条件を伝えた。

「もし、お前らが2人とも黙秘したら、2人とも懲役2年だ。
 だが、お前らのうち1人だけが自白したらそいつはその場で
 釈放してやろう。この場合自白しなかった方は懲役10年だ。
 ただし、お前らが2人とも自白したら、2人とも懲役5年だ。」

この時、2人の囚人は共犯者と協調して黙秘すべきか、それとも
共犯者を裏切って自白すべきか?

ただし、彼ら2人は別室に隔離されており、2人の間で強制力の
ある合意を形成できない状況におかれているとする。