2011/10/31
こういう幸せがあるとわかって、勇気が湧いてきました。
『年収100万円の豊かな節約生活術』
山崎寿人著 文藝春秋
1960年生まれ。
東大経済学部卒、大手酒類メーカーに就職、30歳で退職。
友人の会社を手伝ったり日本新党の立ち上げに関わったりした
ものの定職には就かず、その後20年間プータロー生活を続ける。
著者の山崎さんは、親の遺産である古マンションから上がる年間
約100万円の家賃収入をやりくりして生活しています。
しかし、本書に書かれた山崎さんの生活に貧乏臭さは微塵もなく
むしろ羨ましさすら感じてしまうほど豊かで充実しているのです。
・鶏ささみ&ネギ&ザーサイの和え物
・椎茸の四川風前菜
・豚もも肉のニンニク醤油がけ
・イカの甘酢辛子炒め
・エビのチリソース
・四川風激辛麻婆豆腐
・棒々鶏麺
・土鍋炊きたてご飯
このメニューは月に1回のペースで開催する山崎さんのホームパー
ティーのものです。
食材費用も山崎さんが負担しますが、5人前用意して、予算は〆て
3855円也。
一人当たり1000円以内で豪華メニューを賄っています。
それでも料理は本格的。
自家製の甜麺醤&ラー油、マイブレンドの豆板醤を決め手に、油辣
醤に花椒粉まで駆使して作る麻婆豆腐は、山崎さんがサラリーマン
時代大好きだった陳健一さんの四川飯店の味に近づけようと工夫を
重ねた、自慢の一品です。
山崎さんの節約術は「1円でも安く」といった節約目的の節約とは
ひと味違います。
まず【豊かな気分】を味わうことが、節約以前に譲ることの出来な
い大前提なのです。
その上で、少ない収入の中で工夫する節約術です。
だから、2回以上似たようなメニューが続かないようにまとめ買い
をせず、出来たてを美味しく味わうために作り置きもしません。
そして、寝たいときに寝て、食べたいものを食べたいときに食べ
るのです。
お金のことを心配してくれる人には、山崎さんはこう言うそうです。
「実を言うと、年収は1億あるんだよ。そのうちの9900万円で‘自
由な時間’を買っているのさ。で、残った100万で生活している
というわけ。」
最後に彼はこう記しています。
“社会の状況が思わしくないならば、あとは自分の心を変えるしか
ないわけで・・・自分を取り巻く環境など、他の窓から眺めれば
いかようにも違って見えますから。
要は、ものは見よう考えよう。自分の意志の力で確実に変えられ
るのは、自分の心だけ。”
どこかで何度も聞いたことがあるような気がしますが、本書を読み
進めた後で改めて読んでみるととても新鮮で、素直に腹に落ちるの
です。
読書週間真っ只中。
ご一読をお勧めします。