抜くに抜かれぬ腕枕 | 店舗探し.comの過去コラム

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2013/2/1

俳句や短歌というと高尚な文学のようでなかなかとっつきにくい
ものです。
しかし、同じ七・五調で形式も似ている都都逸は、庶民的で堅苦
しくもなく、つやっぽい作品が多いのが特徴です。
 
 嫌なお方の親切よりも 好いたお方の無理が良い
 
 重い体を身にひきうけて 抜くに抜かれぬ腕枕
 
 梅もきらいよ 桜もいやよ ももとももとの間(あい)が良い
 
都都逸は江戸末期に、初代の「都々逸坊 扇歌」によって大成され
ました。
上方を中心に流行していた「よしこの節」や名古屋で流行してい
た「名古屋節」が元となっているとされています。

七・七・七・五は都々逸に限ったことでなく、潮来節、投節など
全国にある甚句形式の民謡にも多く見られるそうです。
日本語と元々相性のよかった七・五調の節回しが扇歌の登場で集
約・洗練されたのでしょう。
 
 たんと売れても売れない日でも 同じ機嫌の風車
 
 諦めましたよどう諦めた 諦め切れぬと諦めた
 
扇歌の作品はあまり残っていませんが、上の作品はお耳にされた
ことがあるのではないでしょうか。
 
数ある都都逸の中から任意に選んでつなげ、ストーリー作りに
チャレンジしてみます。
座興をば、おひとつ。いざ!
 
 お名は申さぬ一座の中に、命上げたい方がいる
 
 わたしゃお前に火事場のマトイ、振られながらも、熱くなる
 
 岡惚れ三年、本惚れ三月、思い遂げたは三分間
 
 ついておいでよこの提灯に けしてくろうはさせやせぬ
 
 重くなるとも持つ手は二人 傘に降れ降れ夜の雪 
 
  あついあついと言われた仲も、三月せぬ間にあきがくる 
 
 櫻という字を分析すれば 二階の女が気にかかる
 
 よその夢見る浮気な主に 貸してくやしい膝まくら 
 
 飲んで忘れるつもりの酒が 想い募らす春の雨
 
 あの人のどこがいいかと尋ねる人に、どこが悪いと問い返す
 
 おろすわさびと恋路の意見 きけばきくほど涙出る
 
 こうしてこうすりゃ こうなるものと 知りつつこうしてこう
 なった
 
出来の悪い演歌のようになってしまいました。
お粗末さまでした。
 
 上を思えば限りがないと 下を見て咲く百合の花
 
 目から火の出る世帯はしても 火事さえ出さなきゃ水入らず
 
季語だ枕詞だと難しい決まりがない都都逸ですから、誰もが気軽
に作ることができます。
あたまに季節のお題などを入れる「折り込み都々逸」もその一つ
です。
「SC(エスシイ)」のお題で折り込み都々逸を一つ。
 
 縁に恵まれ すんなり見つけ 商売繁盛 一号店
 
またまたお粗末様でした。
ほんの座興です。ご勘弁のほどを・・・。