言葉の底力 | 店舗探し.comの過去コラム

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2013/1/15

例年参加している『SCビジネスフェア』の日程が近づきました。 
毎度のことではありますが、なにかが始まる前は不安に支配さ
れます。

不安を取り除くのは、もちろんコトの成功ですが、コトが始ま
る前に私は開高健さんの本をよく眺めます。
彼の文章には【言葉の底力】とでもいうものがみなぎっていて、
不安な心を鼓舞してくれる気がするからです。
開高健さんの本であれば読む本は何でも構いません。
例えば釣りの本であっても・・・。
 
“釣れた魚が大きいか、小さいか。型がいいか、わるいか。
 よくたたかったか、どうか。
 そういう鑑賞や、評価は、この一瞬のずっとあとになって、
 頭と心と体にいろいろなものがもどってきてからのことである。
 恋、野心、闘争、放浪、友情、酒、そして死などとおなじよ
 うに、釣りにもまた最良、最高、最善は、一瞬にある。
  すべてのために一瞬
  一瞬のためにすべて”
 
“ハイネは、遊んでいるときだけ男は彼自身になれると、いった。
 ニーチェは、男が熱中できるのは遊びと危機の二つだけだと、
 いった。”
 
“いい編集者になる条件は、長年観察した結果、次の三つの要素
 をもってる男であると思われる。
 一つは、痴気。
 一つは、稚気。
 一つは、知己。”
 
“右の目は熱く、左の目は冷たく、心には氷の炎を持て。”
 
“朝露の一滴にも、天と地が映っている。”
 
“悠々として急げ。”
 
“漂えど沈まず。”
 
“無駄をおそれてはいけないし、無駄を軽蔑してはいけない。
 何が無駄で何が無駄でないかはわからないんだ。”
 
“1/3は水に流す。
 1/3は大地にもどす。
 1/3は敵にくれてやる。”
 
⇒「水に流す」とは酒を飲むこと。
 「大地にもどす」とは、金を壷に入れて土に埋めてかくすこと。
 「敵にくれてやる」とは女房にわたすこと、だそうです。
 
“輝けるもの全て金にあらず。”
 
“木は不幸ではない。冬の木は葉を落として素裸かもしれないけ
 れど、不幸ではあるまい。”
 
“生まれるのは、偶然。
 生きるのは、苦痛。
 死ぬのは、厄介。”
 
“明日、世界が
  滅びるとしても
 今日、あなたは
  リンゴの木を植える。”
 
気持ちを強く持ったところで、最後に読むのはいつもこれです。
 
“かくて、われらは今夜も飲む、たしかに芸術は永く、人生は
 短い。しかしこの一杯を飲んでいる時間くらいはある。 
 黄昏に乾杯を!”