キセル復活!? | 店舗探し.comの過去コラム

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2012/12/18


「羅宇屋」は「らうや」または「らおや」と読みます。
羅宇は、日本の伝統的喫煙具「煙管(キセル) 」の一部です。
 
煙管は、刻み煙草を詰める【火皿】と口にくわえる部分の【吸
い口】、火皿と吸い口をつなぐ管である【羅宇】、羅宇と火皿
を接合する【雁首】でできています。
 
羅宇屋は、羅宇にたまったヤニを掃除したり、羅宇を挿げ替え
たりする職業です。

紙巻きたばこ全盛の時代にも、煙管用の刻みタバコはタバコ葉
本来の味が楽しめるとして熱心なファンが居ました。
しかし、喫煙人口そのものが減ってしまったために、現在、国
産の銘柄としては「こいき(小粋)」1種類しか残っていません。
 
羅宇屋は元々露天商として門前に出店したり、屋台や背負子ス
タイルでの行商で営まれる零細な商いでした。
戦後その数を急激に減らし、浅草寺門前の羅宇屋が10年ほど前
に廃業してからは無くなってしまいました。
 
その羅宇屋を、文京区の小石川で始めた方がいます。
「羅宇屋始めました」というサイトで注文を受けています。
https://sites.google.com/site/raogiseru/home
 
電車の不正乗車の一種に「キセル」があります。

煙管が吸い口と火皿の両端が金属でできていて中央の羅宇は竹
でできていることから「両端だけ金がある(金を払っている)」
としてキセルと呼ばれるようになりました。
 
白状しますと、30年近く前に電車通勤をしていた頃、キセルを
何度かしたことがあります。
外出先から会社に戻る際に、最寄駅で初乗り運賃の切符を買い、
会社の近くで通勤定期を利用して改札を突破するのです。
キセルをして浮かした分までちゃっかり会社に交通費として不
正請求していました。

もしキセルが発覚していたら、正規運賃以外に追徴金を最大20
倍も支払わされるだけでなく、悪質だと見なされると、鉄道営
業法違反行為や詐欺行為として刑事告訴される可能性もありま
した。
もちろんそうなれば、会社からは懲戒解雇されていたことでし
ょう。

弁解をするわけではありませんが、当時は、改札には駅員さん
が立って定期を眺めているだけでしたので、キセルが発見され
ることはめったにありませんでした。
キセルをしている人はかなり多く存在していたように思います。
 
しかし、自動改札システムが導入され出入記録がしっかり把握
されるようになると、単純なキセルはできなくなりました。
私も、乗車運賃をちょろまかそうなどと不届きな考えを起こす
ことなど全くなくなりました。
科学技術がシステムの隙を無くして、余分な犯罪を未然に防ぐ
ことに成功した好例でしょう。
 
羅宇屋というのどかな商売が復活し、刻みタバコには去年から
「宝船」というベルギー産の種類も増えました。
こちらのキセルの復活は、なかなかに微笑ましく、心和む気が
するのです。