『できそこないの男たち』 | 店舗探し.comの過去コラム

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2012/6/12

“人は女に生まれるのではない、女になるのだ

 シモーヌ・ド・ボーヴォワールはこう高らかに宣言した。
 しかし、これは生物学的に見て明らかに誤りである。生物はすべて
 女として生まれる。だから、女はもともと女として生まれた。
 ボーヴォワールはもう少しリラックスすべきだったのかもしれない。
 彼女の言葉はむしろこう言い換えられるべきなのだ。

 人は男に生まれるのではない、男になるのだ”

『できそこないの男たち』
    福岡伸一著 光文社新書

地球に生命が誕生してから10億年の間、生物の性は単一で、すべて
がメスだったそうです。
母が自分と同じ遺伝子を持った娘を生む単為生殖は効率がいいので
す。好きなときに誰の助けも必要とせずに子供を作ることができるか
らです。

しかし、環境の大きな変化が予想されるようなとき、新しい形質を生
み出すことができない仕組みは全滅の危機にさらされることになりま
す。
新しい系譜への橋渡しのためにオスは発生しました。
つまり、オスとは、ママの遺伝子をだれかほかの娘のところへ運ぶ
「使い走り」なのだそうです。

男は総じて短命です。
それだけではありません。ガン罹患率、心疾患、肺炎・・・。
あらゆる病気に関する統計でも、男の方が女よりも死にやすいことを
示しています。

男の方が重労働をするからだとか、男の人生の方がストレスが余計に
かかるからだなどと言われてきましたが、それはいずれも間違いなの
だとか。
本書によれば、男の宿命的な弱さは、無理に男を男たらしめたことの
副作用とでもいうべきものだというのです。

“Y染色体という貧乏くじを引いたばかりに、基本仕様である女性の
 路線からはずれ、遺伝子の使い走り役にカスタマイズされた男たち。
 このプロセスで負荷がかかり、急場しのぎの変更が男性の生物学的
 使用に不整合を生じさせたのである。

 ・・・弱きもの、汝の名は男なり。”

道理で、いつも女性にやっつけられるわけです。
すべて納得!
少なくとも私は、ですが・・・。