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2013/11/30

アメリカ人経営者の81%が週末に仕事のEメールをチェックし、55%が
午後11時以降に自分のメールボックスを見ており、3分の1が仕事の
Eメールに15分以内で返信しているそうです。

仕事の主戦場がスマホになってきています。

ネットショップは24時間オープンしていますし、世界中、いつでも
どこかは昼なのですから、その気になれば24時間、365日仕事をし続
けることも可能です。

一方、仕事中であっても、ラインやツイッター、フェイスブックで
プライベートのやり取りやブログ、ゲームでさえもできる環境にあ
ります。
仕事のほんのわずかな合間を見つけては、友人や恋人との会話を楽
しみ、気になるブログを覗きこんではちょっかいを出す。
こんなことが、ごく普通に行われています。

ノマドワーキングも一般的になってきて、仕事とプライベートの境
界線はかぎりなく曖昧になっています。
仕事もプライベートも、常に全員とつながっていて、必要に応じて
情報のやり取りをしているわけです。

ヒト一人から何本もの線が伸びていて、それぞれ誰かと繋がってい
ます。
地球上にはそれこそ無数の線が網目状に張られ、日々信号のやり取
りが行われています・・・。

ふと、最近読んだ本にあった、ある仮説を思い出しました。
仮説の主張者であるジョシュア・レダーバーグは大腸菌どうしが互
いの遺伝子をやりとりする生殖行為を行っていること(「細菌接合」)
を証明し、ノーベル賞を受賞しています。

以下、『破壊する創造者 ウイルスがヒトを進化させた』(フラン
ク・ライアン著 早川書房)から引用します。

“レダーバーグは、生命というものを一種の「代謝機構」とみなして
 いるのだという。
 地球上では、その代謝機構が巨大なネットワークを形成していると
 いうことだ。それぞれが、互いに化学物質、あるいは遺伝子のレベ
 ルで助け合い、影響を与え合っているという。

 確かに、個々の生物は「自分の遺伝子」というものを持っており、
 その遺伝子に、個々の生物を形作るのに必要な情報は保持されて
 いる。
 しかし、どの生物の遺伝子も、実は決して単独で存在し得るのでは
 なく、互いに依存し合っているのだ。

 たとえば、私たち動物は、植物の遺伝子の存在なしには生きていく
 ことができない。植物は光合成により、糖類やアミノ酸を作る。

 人間をはじめとするすべての動物はそれに依存して生きている。
 その意味で、私たちは植物の遺伝子と共生関係にあると言えるで
 しょう。”

ウイルスから人間まで、あらゆる生物が、一つの代謝機構として機能
しているという説は、現代人にとっては説得力のあるものに聞こえます。
なぜなら、人間も、網目状に広がるネットワークを通じて、必要な情報
のやり取りや各種決済を行いながら生活を成り立たせているからです。

もはや、仕事だプライベートだときっちり仕分けなどする必要はない
のかもしれません。
アナログのように切れ目なく、のべたらつながって、支えたり支え合っ
たりする方がむしろ自然なのです。