『ルドandクルシ』 | 店舗探し.comの過去コラム

店舗探し.comの過去コラム

会員様向けメルマガに掲載された過去のコラムを掲載しています。

2010/2/25

映画という文化が、その国を理解する唯一の手段だとしたら、
「メキシコ」を理解するには、お勧めかもしれません。

『ルドandクルシ』

貧しい兄弟がたどる運命を描いたこの映画は、兄弟の人生の
起伏の激しさや、アップテンポの展開から、典型的なジェット
コースタームービーといえるでしょう。

昇っては降りるジェットコースターのように、波乱に富んだ
人生が兄弟を襲いますが、観客はそれを、畳み掛けるような
テンポで見せつけられることになります。

深刻な運命を目の前にしても、兄弟や周囲の人間はいずれも、
どこか乾いて、あっけらかんとしています。
早送りのような展開は、日本映画とはあきらかに異質で目まい
がしそうですが、これがラテン系のリズムなのでしょうか。

映画を通して味わえる、独特な風味や肌合いには、「メキシコ」
のリアリティがあり、これこそが「メキシコ」の本領なのかも
しれないとの説得力がある作品です。

映画館を出た後まで、メキシカンな気分は引きずっていて、
もし、目の前にメキシコ料理の店があったなら、思わず飛び
込んで

「テキーラにトルティーヤ!」

と、大声で注文してしまうかもしれません。

『ルドandクルシ』はまさに「メキシコ」が匂い立つような
映画です。

残念ながら、鑑賞した映画館の前にはメキシコ料理の店はなく、
地下鉄の出入口がぽっかり口を開けており、そのまま寂しく
家路につくことになりました。

帰宅後、何気なく目に付いたカップヌードルが無性に食べたく
なり、誘われるようにして食べましたが、食べ終わった瞬間に、
はたと思い出しました。
『ルドandクルシ』のあるシーンで、「エビ入り」のメニュー
だと紹介されながら主人公が渡された袋に入っていたのが、
大量のカップヌードルだったのです!

これはある種のサブリミナル効果のなせる業だったのでしょう
か!?