ヒトクヒトク | 店舗探し.comの過去コラム

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2014/2/19

「一筆啓上仕り候」
「ちょっと来い、ちょっと来い」
「テッペンカケタカ」

鳥のさえずりを、意味のある言語の言葉やフレーズに当て
はめて憶えやすくしたものを【聞きなし】と言います。
上から順にホオジロ、コジュケイ、ホトトギスです。

不思議なもので、【聞きなし】を覚えている鳥の鳴き声は
その通りに聞こえます。

鶯と言えば「ホー、ホケキョー」、つまり「法華経」です。
しかし、実は昔の人には、そうは聞こえていなかったのです。

『古今和歌集』に次の歌があります。

梅の花身にこそ来つれうぐひすのひとくひとくと厭ひしもおる

「私はただ梅の花を見に来ただけなのに、ウグイスが人来人来
 (人が来る人が来る)と言って嫌がっていることよ。」
           『歳時記百話』(中公新書)より

当時の人の耳には「ヒトクヒトク」と聞こえていたことに
なります。
鶯の別名に「人来鳥」があるのはこうした理由なのです。

鶯には、「春告鳥」との別名もあります。
本州中部あたりでは 2月初旬頃からさえずり始めるからです。

「梅に鶯」と言えば花札です。
しかし、実は梅の木でウグイスを見かけることはあまりない
そうです。実際には梅の蜜をよく吸いにくるのはメジロです。
つまり、「梅にメジロ」が正しいのです。

鶯は山梨県と福岡県の県鳥に指定されています。
他にも、北は北海道の歌志内市から、宮崎県の西都市に至る
まで、多くの自治体で市町村区の鳥に採用されています。

ちなみに関東では、東京都大田区、青梅市、市川市、飯能市、
秦野市、牛久市、高崎市等17の自治体が採用しています。

「梅に鶯」を同時に観察することは難しいかもしれませんが、
東京では既に梅の花はほころび始めています。

会員の皆様がお住まいの地域では、鶯の初鳴きと梅の開花、
はたしてどちらを先に観察することができるでしょうか。