限りない未来へ | 店舗探し.comの過去コラム

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2012/02/25

コップに半分の水が入っています。
「まだ半分ある」と考えるのか「もう半分しかない」と思うのか。

「ある」と考える人は向上心が無いからダメで、「ない」と思う
人はハングリーであるからよろしい、という解釈があります。

「まだ半分ある」と考える人は現状に満足してコップの水を増や
そうと努力することはありません。だから「もう半分しかない」
と思う人でなければ“売上げ”を増やすことは出来ないのだ、と
営業マンにはっぱをかけるために経営者が引き合いに出します。

しかし、半分なのがコップの水でなく“人生の残り時間”だとす
ると、「まだ半分ある」と考える方が、「もう半分しかない」と
悲観的になるよりも未来への希望が湧いてよほどいいように思え
ます。

結局、「コップに入った半分の水」というひとつの事実からでも、
「まだ」と「もう」を都合よく使い分けることで、自分たちにと
って必要な教訓を導き出すことができるということなのです。

戦後の日本は、およそ右肩上がりの歴史を刻んできました。

しかしバブル崩壊後は一転、ベクトルは下向きとなり、20年を経
過しても右肩下がりの傾向は一向に変わりません。人口の減少に
は歯止めがかからず、貿易赤字の固定化への懸念もささやかれる
今となっては、下がりっぱなしの20年を【失われた20年】として
例外扱いして括るには無理があるように思います。

下降曲線はごく自然な潮流として捉えるべきなのではないでしょ
うか。

今後の日本では、どのみちコップの水は減っていくのです。
コップの水を増やすための処方箋が誰も書けていない今、私たち
は水位を下げていく状況を前提に、自分達にとって都合のいい解
釈を発見して理論武装しなければならないのでしょう。

永遠に続く右肩上がりの経済成長は、金銭的、物質的な豊かさを
肯定することで補強されます。

ウサギ小屋から高級マンションへ、更にはリゾート地のセカンド
ハウスのオーナーへと資産を増大することが具体的な人生の目標
となります。

まだ足りない。あれもこれも欲しいと次々に欲望を膨らませるこ
とが、更なる経済成長をも促していきます。

一方、右肩下がりではどうなるでしょう。

今持っているセカンドハウスは維持できなくなって手放し、ロー
ンが払えずに高級マンションも売り払い、4畳半一間で生活する
老後を覚悟しなければならないでしょう。

それでも将来に夢や希望を繋ぐためには、金銭的、物質的な豊か
さに変わる価値にすがるよりほか無いはずです。

【起きて半畳寝て一畳、天下取っても二合半】

とのことわざがあります。
生活をするのに4畳半で十分なら、衣裳部屋や客間など、余分な
部屋がたくさんある高級マンションなどはかえって負担ですし、
ましてやセカンドハウスなど無駄そのものだといえます。

ベンツを売り払ってガソリン不要の自転車にまたがり、地産地消
のスローフードでエコ生活を満喫する。

守るべき財産が減って、身軽になればなるほど心が開放されて生
きやすくなるでしょう。

営利よりも社会的課題の解決を優先度の高い価値として、ソーシャ
ルビジネスに従事するのもいいでしょう。
同じパフォーマンスならば利益が少なければ少ないほどその仕事
への評価は高まり、達成感はより強く感じられるでしょう。

『シンプル イズ ベスト。
「もう」十分どころか、日本には余分なものが「まだ」多すぎる。』

減らしていくことで幸福を実感できると、心の底から納得できたなら
ば、私たちの未来は限りなく明るいものとなるでしょう。