『傍聞き』 | 店舗探し.comの過去コラム

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2012/4/24

『傍聞き』(長岡弘樹著 双葉社)をやっと読みました。

2,3年前、友人におもしろいからと強く勧められて買ってはみた
ものの、その強引な勧め方になんとなく鼻白んでしまい、後回
しにしていたらいつしか忘れてしまっていました。

先日、地下鉄に乗っていたら目の前に座っている大学生らしき
青年が一心不乱に本を読んでいます。

そのあまりの集中ぶりに、何を読んでいるのかが気になり、よ
うやく覗き込んでみたら『傍聞き』でした。
瞬間、購入したまままだ読んでいなかったことを思い出し、帰
宅すると早速本棚から引っ張り出し、埃を払って読み出しまし
た。とても読みやすかったこともあり、そのまま一気に読み切
ってしまいました。

つい数日前、ランチで入った喫茶店の隣のテーブルで、サラリ
ーマンが大声でグルメ談義をしています。

「幻の鶏料理屋ってのがあるんだよ。予約は2ヶ月に1度だけし
か受け付けないんだ。そこにこの間やっと行ってきたんだけど
さ、いやあ、旨いのなんの・・・。」

どうやらその店は我がオフィスからもそう遠くないところにあ
るらしいのです。店の名前をそっと手帳に書き込みました。
次回の予約受付には、是非チャレンジしてみようと思っていま
す。

『傍聞き』の中に、次のような場面があります。、

“「菜月、あんた、漏れ聞き効果って知らないの?」
 「何それ」
 「知っているわけないか。だったら『傍聞き(かたえぎき)』
 なんて言葉も初耳よね。いい?例えば、何か一つ作り話がある
 とするじゃない」
 「うん」
 「それを相手から直接伝えられたら、本当かな、って疑っちゃ
 うでしょう」
 「そりゃね」
 「だけど、同じ話を相手が他の誰かに喋っていて、自分はその
 やりとりを そばで漏れ聞いたって場合だったらどう?ころっ
 と信じちゃたりしない?」
 「まあね」
 「これが漏れ聞き効果なの。どうしても信じさせたい情報は、
 別の人に喋って、それを聞かせるのがコツ。」”

私たちは、人から与えられる情報よりも自らの行動や意思によっ
て獲得した情報に、より高い価値を見出すのです。

検索連動型の広告、見ず知らずの他人が書いたブログの記事や
ツイッターに流れるツイートの“傍聞き”こそが、広告やパブ
リシティの中心手段となるのは当然な流れなのでしょう。