賞味期限 | 店舗探し.comの過去コラム

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2010/11/5

親切なんだか過保護なんだか・・・。

賞味期限の表示方法について、消費者庁が見直すことを
決めたそうです。
まだ食べられる食品があまりに大量に廃棄されている実態
を改善しようとの事だとか。
同庁では「賞味期限の脇に『日付を過ぎても食べられる』
と明記する」などの新方針を策定し、消費者の理解を促す
ための啓蒙活動も行うとの事です。
           
「賞味期限」自体が「おいしく食べられる期限」という、
はなはだ解釈の曖昧な存在なのに、その上に「日付を過ぎ
ても食べられる」と表示して、消費者にどう判断しろというの
でしょう。

以前、賞味期限の運用について保健所に問い合わせた
ことがあります。
担当者は、
「賞味期限は特に設けなくても構いませんが、10年も経って
から消費者に因縁をつけられたら困るでしょう。」
と耳打ちしてくれました。
賞味期限を設定する意味は、消費者保護という観点から、
というよりも、メーカー側の消費者対策としての側面が強い
のだとのことでした。

スーパーで買物をする時には、賞味期限が一日でも長い
商品を選ぼうと、神経質になっている人をよく見かけますが、
一方では、賞味期限なんか一切気にしないという猛者も
います。
いずれにしても、賞味期限の見落としで重大な事故が
起こったというニュースに接した記憶はあまりありません。

むしろ、消費期限を鵜呑みにする無邪気な人ばかりが
増えたために、魚の活きの良さを見極める知恵や、野菜の
鮮度を確かめる方法を知っている消費者が減ってしまって
いる事態の方が、深刻なのではないでしょうか。

「危険ですから白線の内側まで下がってお待ちください。」
だの
「前の人に続いてお降りください。」
だの、過剰包装のような親切のダメ押しに、辟易すること
もあります。
家電製品の説明書にある「警告」だの「注意」も、たくさん
ありすぎてとても読む気にはなれません。

このままでいくと、いずれは
「注意!右足の次には左足を前に出してお進みください。」
とか
「警告!息は吸ったら必ず吐いてください。生命の危険に
 晒される危険があります!」
なんてポスターや説明書が、そこら中に氾濫するような
ことになってしまうのではないでしょうか。