LIVEメモ(角野隼斗 佐渡裕 新日本フィル 2024年6月2日 富山オーバードホール) | IN THE WIND

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大人気のピアニスト・角野隼斗さんが佐渡裕さんと共演するこのプログラムをどうしても聴きたかったけれど、5月末の堺公演の日はタイガース戦のチケットを先に確保してたので千秋楽の富山へ遠征。角野さんもオケも圧巻の演奏で、まとめ上げた佐渡さんもいつもにも増してエネルギッシュな指揮ぶりだった。アンコール後も拍手が鳴り止まず、オケのメンバーが下がった後にもう一度佐渡さんが出てきた応えていたほどだった。ホントに行ってよかった。


座席は左ブロックの1列目。演奏中は角野さんの背中を見る方向だったけれど、体より右の鍵盤上を目まぐるしく動く角野さんの手の様子がバッチリ見えた。雄大な曲想に負けない力強さや明瞭さに、ニュアンスの豊かさや繊細さと、表情を変えながら自在に紡ぎ出される多彩な響きに圧倒された。


ソリストのアンコールでは角野さんがマイクを持って登場。ツアー千秋楽ということでオケのメンバーと演奏したいと説明し、コンマスの崔さんとチェロ首席の佐山さんとのトリオで、角野さんがドラマのために作曲したという「かすみ草」を披露した。後でググってみると火曜深夜のTBS系のドラマのようだ。


さて、佐渡さんは恒例のプレトークでツアーのチケット完売が嬉しいと言いつつ、「角野くんが目当てなのはわかってますけどね」と笑いを誘い、相変わらずのサービス精神ぶりを披露。もちろん演奏でも、ピョンピョン跳ねたり、唸ったりしながらグイグイとオケを引っ張り、迫力たっぷりの演奏を引き出した。


チャイコフスキーの5番は楽曲自体が備える楽想の豊かさや構成の完成度の高さ、そして親しみやすい主旋律のおかげで、プロのオケが普通に演奏すれば大概盛り上がるけれど、この日の演奏はテンポや音量に強くメリハリをつけ、フィナーレへと向かう疾走感、高揚感が格別で、とにかく熱量の高い演奏だった。


オケのアンコールもチャイコフスキーで「弦楽セレナード」第2楽章から。通常より音量がアップされた金管群が大活躍した5番の後だったので、弦楽だけの清々しい響きを選んだのかも知れないけれど、本当に清澄な響きでとってもよかった。いい意味で興奮をクールダウンさせてくれる絶妙の選曲だった。


僕はふだん、オケを見下ろすような座席を好んで選ぶけれど、今回は座席選択できず図らずも1列目となっていろいろ再発見があった。弦楽器は弓が弦を擦る音まで聴こえるし、低音の振動が座席まで届くのを体感した。佐渡さんの唸り声が聞こえたのも1列目ならではだろう。たまには前の方もいいかもしれない。


次に佐渡さんを聴くのは7月にある兵庫県立芸術文化センターオケとの蝶々夫人、角野さんは9月にウィーン放送交響楽団とのモーツァルトの戴冠式を聴きに行く予定。今から楽しみ。


【2日の備忘録】

夜、大阪へ帰還。朝=ホテルのバイキング、昼=海鮮丼。飲酒=赤ワイン3杯、白ワイン2杯。体重=61.4キロ。