読書メモ「ルポ『断絶』の日韓」(牧野愛博) | IN THE WIND

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日韓関係は昨秋の徴用工判決問題、従軍慰安婦合意の棚上げから関係悪化が加速し、日本による輸出管理のホワイト国認定除外、韓国によるGSOMIAの破棄通告とエスカーレトが続いた。両国から互いを訪問する観光客も激減し、日韓を結ぶ空と海の航路の減便、休止が相次ぐ事態となっている。こうした日韓の「断絶」をめぐり、語学留学時代を含め通算9年以上韓国で勤務して今春帰国した新聞記者が なぜここまで分かり合えないのか という副題のもと、経緯と深層をルポする。

 

本書によれば、韓国人にとって終戦までの植民地時代はもとより、南北分断で戦後の発展が遅れたことも含めた日本への反感と、長年の反日教育も相まって「日本のことは悪く言っても許される」「公の場で日本を擁護しづらい」という認識、感情が定着しているという。さらに多くの韓国人が、国交回復時の請求権協定で日本が拠出した無償有償の援助の実態や、河野官房長官談話、村山首相談話などで植民地支配に謝罪していることすら知らない、あるいは知らされていない、知ろうともしないという。

 

そうした韓国の国民感情を前提として、昨年来問題となってきた海自哨戒機に対するレーダー照射事件や自衛艦旗(旭日旗)拒絶問題、徴用工判決、従軍慰安婦合意棚上げついて、どういう経緯でエスカレートしていったかを検証。日本に対するメンツや事実に基づかない反日感情、さらに韓国内の格差拡大がないまぜになって憤激する世論を抑えられず、韓国政府が日本との対立を深めたとする本書の解説が事実だとすれば、行き過ぎた反韓嫌韓の論調には与しない僕でさえもうんざりする。

 

文在寅大統領が日韓関係の改善に意欲がなく、関心すら持とうとしないという本書の指摘には絶望感すら覚える。一方で安倍政権が日韓関係の改善に意欲的かというと、自分で引いた一線から一歩も動かずに相手の譲歩を促すばかり。GSOMIAは失効直前に回避されたけれど、アメリカの圧力によって歩み寄ったに過ぎない。では、どうすれば日韓関係は改善できるのか。本書にはその答えは書かれていない。さまざまなメディアを通して判断材料を集め、自分の頭で改めて考えるしかない。(朝日新書)

 

【25日の備忘録】

休肝日2日目。朝=ご飯1膳、干しハタ、リンゴ、昼=牛丼、夜=牛肉レンコンキンピラ。体重=60.6キロ。