読書メモ「山羊の歌」(中原中也) | IN THE WIND

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恥ずかしながら、50歳を超えて生まれて初めて詩集を買った。和洋問わず、教科書に載っていた作品以外、詩はほとんど読んだことがなく、正直言って関心は非常に薄かった。ところが、先日見た映画 野のなななのか で、品川徹の野太い声で朗読された中也の詩が、気がつけば頭の中で鳴っていることがあり、だんだん気になってきた。というわけで、本屋に注文して取り寄せた。

 

映画で見た出版当時の装丁を模した作りになっていたのも、買ってみようと思った理由の一つ。ただ、本書は四六判だけれど、映画では当時と同じ四六倍判だったようだ。それはともかく、本書は中也27歳の時出版された生前唯一の詩集。中也と言えば、僕のような門外漢にもすぐ頭に浮かぶ 汚れちまった悲しみに や、教科書にも載った サーカス など44編が収められている。

 

僕の中は断然、「野のなななのか」で呪文のように繰り返されていた 夏の日の歌 が印象深い。

 

青い空は動かない、

     雲片一つあるでない。

 

雲ひとつない抜けるような青空を「動かない」と切りとっt表現に、言葉も出ない。中也の目に映った空はどんな青さだったのだろうか。80年前に亡くなった中也は知り得るはずもないけれど、現代の酷暑の夏空を見ても、中也は同じように表現しただろうか。

 

もう1編、 盲目の秋 も気になった。17歳で同棲した新劇女優の長谷川泰子のことを詠んだとされる第3章。同人誌での発表は23歳の時だそうだけれど、読んでいる方が恥ずかさを覚えるほど、少年のような、危ういまっすぐさを帯びた中也の心情を目の当たりにしたようだ。

 

ごく自然に、だが自然に愛せるといふことは、

  そんなにたびたびあることでなく、

そしてこのことを知ることが、さう誰にでも許されてはゐないのだ。

 

熱烈、あるいは正統派の中也ファンには失笑されるような拙い感想だけれど、これからも座右に置いて、折に触れて読んでみたい。それにしても、読めない漢字が多い。当て字が多いので、正統派の漢和辞典ではわからず、ネットで検索して読み方を調べながら読んだので、詩のリズムが邪魔されるのが難点。(日本図書センター)

 

【20日の備忘録】

休肝日1日目。朝=ご飯1膳、ジャコピーマン、リンゴ、昼=牛丼、夜=豚モヤシ炒め。体重=63.8キロ。