【 エクスペリメント 】 | Darkside of the Moon

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こんばんは、ジュンです。


新年一発目の映画は、【 エクスペリメント 】。

1971年にアメリカのスタンフォード大学で行われた心理実験を基に、

作られた作品でございます。

実際の実験では、6日間で終わってしまったといいます。

2001年、『 es [エス] 』 というドイツ映画が同じ題材で作られています。


管理人にとって、この 『 es[エス] 』 は今まで観た映画の中で、

5本の指に入る程、印象深い作品でございます。

この作品を観終わった時の衝撃は、今でも鮮明に覚えております。

とんでもない映画を観てしまった・・・

と言う消化しきれない頭を抱えながら歩いた、

暑い夏の渋谷のスクランブル交差点をはっきりと思い出します・・・


それと同じ題材で作られたアメリカ映画!

複雑な気持ちで観てまいりました。




  職を失ったばかりのトラヴィス(エイドリアン・ブロディ)は、

  日当1000ドルという高額な報酬に惹かれて、

  大学で行われる期間2週間の実験に参加することに。

  その実験とは、被験者となる24人の男たちが、

  刑務所と同じ環境下で “看守役” と “囚人役” に別れ、

  それぞれの役割に従って行動するというもの。

  トラヴィスはじめ囚人役となった男たちは、面白半分に看守役を挑発するなど、

  最初はリラックスした様子だった。

  一方、実験前にはトラヴィスと和やかに言葉を交わしていた男、

  バリス(フォレスト・ウィッテカー)は看守役に選ばれる。

  彼は、刑務所の秩序を守るべく、

  次第に囚人役の男たちに対して高圧的になってゆくのだが・・・。 ( allcinema より )




どうしても、ふたつの作品を比べてしまうの仕方がないこと。

それも、10年近く前に観て衝撃を受けた作品が、

管理人の中で必要以上に過大評価されているとも考えられます。

そこを踏まえての感想である事を、ご承知ください m(_ _ )m



集まった男たちは、高額報酬に釣られてきた普通の人間。

しかし、置かれた環境によってこうも影響されてしまうのか・・・

この作品を観た後も、『 es 』 と同様なことを思いました。

しかし、あの不愉快極まりない気持ち悪さは、

この作品からは感じられなかったのです。


この作品と 『 es 』 の大きな違いは2点。

ひとつは、看守役と囚人役のリーダーの決まり方。

『 es 』 では、コントロールする側とされる側のやり取りの中で、

自然に出来上がっていったように覚えています。

この過程がかなり屈辱的で、心理的な気持ち悪さが積もって.いきます。


一方、この作品では囚人役のリーダーは初期段階でトラヴィスがリーダー的発言をして、

そのままリーダー的役割を担ってしまいます。

そして看守側。

自己表現の下手そうなバリスが、一度囚人役の人物を殴りつけた瞬間、

自身の高まりを感じてしまう。

そう、エクスタシー・・・

自然な状況からリーダーが出来上がったのではなく、

その快感から自らリーダーを宣言し、狂気へと走ってしまったのです。



もうひとつの違いは、実験する側との係わり合い。

『 es 』 では、看守側の行き過ぎた行為があれば、

ある程度、監視ルームから接触があります。

この作品では、実験者側は、被験者を集める面接場面に出てくるだけで、

それ以降、まったく現れないのです。

監視しているはずの実験施設へ、ただの一度も接触がない。

実験のルールのひとつとして、

「暴力行為があれば実験は中止」 というのがあるのですが、

それがまったく守られていないのです。


実験が進むにつれ、たとえ暴力が振るわれても何も起こらないと分かった看守側は、

その行為がどんどんエスカレートしていきます。

実験者を登場させないことで、この先の両者の関係を観察していたのかもしれないですが、

ルールのある実験という前提で始めたものを、

ココまで無視する形でいいのか・・・ と、少々疑問に思ってしまいました。



看守役と囚人役の暴力のエスカレートで、

最終的に実験場を開放したこの作品・・・

看守役、囚人役、そして実験者をも巻き込んで暴動が起きた『 es 』・・・


実際の実験ではどのような結末を迎えたのかは分かりませんが、

管理人的には、心理的圧迫が強く、後味の悪かった 『 es 』 の方が、

印象に残る面白さがありました。




昨日、この作品を観た帰りに TSUTAYAに寄って、

『 es 』 を借りてまいりました(笑)

次の感想文は、恐らく 『 es [エス] 』 になると思います!