こんばんは、ジュンです。
前から気になっていた映画、【 誰も守ってくれない 】を、見てまいりました。
ある日突然、殺人事件の容疑者の妹になってしまった15歳の少女・沙織（志田未来）は、
訳も分からぬままに家族から引き離され、一人の刑事・勝浦に保護される。
容疑者家族の保護という任務を負わされた勝浦（佐藤浩市）もまた、
過去の事件を引きずって、カウンセリングを受けている身であった。
容疑者の家族と言うだけで、執拗に追いかけてくるマスコミから逃れるため、
居場所を次々と変えるが、それでも追いかけてくるマスコミ・・・
勝浦は、家族旅行をのために予約していた、
伊豆のペンションに逃げ込むことにした。
そのペンションは、かつて勝浦が関係していた事件で、
守りきれなかった被害者の両親が経営している場所であった。
勝浦と沙織が、マスコミから必死で逃れようとしている時、
ネットの世界では、容疑者家族を糾弾する掲示板が祭りになっていた。
容疑者家族のプライバシーを丸裸にし、
逃亡先の姿までを晒してゆくネットの世界。
はたして、二人はどこへ行き着くのか・・・
いろいろな意味での問題提起を、数多く含んだ作品である。
一つの事件は、被害者の家族だけでなく、加害者の家族も崩壊させる。
しかし、それを取り上げるマスコミは、
報道とい名の下に、読者・視聴者の喜ぶやり方で事件を煽りたて、
その影に隠れた、家族の真の苦悩を伝える責任を持つことはない。
そして、警察はと言えば、当事者にとってはたった一つの事件であるにも係わらず。
日常に起こる多くの事件の一つに過ぎず、
非常なまでに事務的に、淡々と家族との手続きを進めてゆく。
一方、今の社会から切っても切り離すことの出来ないネットの世界では、
凄いスピードで情報が広がってゆく。
煽られれば、煽られるほど、興味本位の情報が一人歩きして、
祭りに晒されたが最後、もう、そこから逃れることの出来ないところまで追い込まれる。
マスコミがどのように頑張っても、到底太刀打ちできないネット情報・・・
記者もまた、ネット社会の凄さに困惑する。
・ 一つの犯罪によって生まれる、被害者と加害者の問題
・ 警察の出世に絡む縦社会の問題
・ 過剰報道を良しとする、マスコミの問題
・ ネット社会の問題
ざっと感じただけでも、これだけのことを、この作品を見て考えさせられる。
一つの事象だけを追っても、全体像が見えない今の社会だからこそ、
このような作品が意味のあるものだと感じた。
容疑者の妹と言う立場の沙織を、ただ「可哀想」という感情で描かず、
その家族が社会的にどのような立場に置かれ、
どのように生きていかなければならないのかを、客観的に表現したことで、
非常に成功した作品なのではないだろうか。
刑事・勝浦役の佐藤浩市の上手さはもちろんのこと、
沙織を演じた志田未来が素晴らしい！
大げささがない分、余計に表情の意味が生きる演技をしている。
子役から脱皮して、いい女優になって欲しいと思う。
先日、この映画の関連ドラマ【 誰も守れない 】の放送がありました。
このドラマを見ている方は、登場する人物のバックボーンがより分かり、
映画の内容を深く感じることが出来ると思います。
ぜひ、いろいろな方に見ていただきたい、管理人お勧めの映画です。