真実を見抜く力4 | アートナビゲーターすえPブログ

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アートナビゲーターすえPです。このブログでは、大阪市北区中崎町にあるGallery IYNの活動を通じて、アートの魅力を多方面からお伝えします。アートに少しでも興味がある方は、ぜひこのブログをフォローしてください。

目の機能の限界


突然ですが、碁石は黒より白の方が小さいってご存知でしたか?

白が直径21.9ミリ、黒が直径22.2ミリ。黒が0.3ミリ大きく、厚みも0.6ミリ程度厚く作られています。


理由は、白が膨張色で黒は収縮色のため、白の方が5%ほど大きく見えるからです。もし、白と黒が同じだと、数が同じでも白が優勢に見え、黒の人が不利に感じてしまうことから、このような工夫がされています。
https://www.gallery-iyn.com/post/_gift_exhibition


目の機能の限界というのは、碁石の例だけではありません。


例えば、黒い段ボールと白い段ボールとでは、白い段ボールの方が軽く、黒い段ボールの方が重たく感じることがあります。これは、色の明暗によって、重量感が変わるという錯覚です。
また、従来のペットボトルより細長いペットボトルの方が高級に感じることがあります。これは、形の比率によって、品質感が変わるという錯覚です。

私たちの目は、色や形、光や影などを正確に捉えることができない場合があります。それは、私たちの脳が、目から入ってくる情報を加工して、自分に都合の良いように解釈するからです。私たちの脳は、常に自分の真実を作り出そうとしています。しかし、その真実は、必ずしも現実や他者の真実と一致するとは限りません。

メディアの性質の限界


目の機能の限界だけではありません。芸術家の目と鑑賞者の目の同一化を阻むものには、芸術作品を見る為のメディアの性質もあります。芸術作品を見るメディアとは、絵画や写真、映像など、芸術家が表現したものを鑑賞者に伝える媒体のことです。しかし、このメディアは、芸術家が意図した表現を忠実に再現できない場合があります。
https://lin.ee/4FRc7JB


写真やデジタルプリントの絵にとっての難問は、経年劣化や、光の反射といった問題です。色のグラデーションを上手く表現できないメディアで出力してしまった場合は、芸術家にとっても、鑑賞者にとっても、最悪の結果になってしまいます。

HAIRSTYLE PARK

芸術作品を見ることは、真実を見抜く力を養う、トレーニングと言っても良いでしょう。難しいが故に熱中してしまうアートという名の非常に難しいゲームと言っても良いかも知れません。


しかしそのゲームを台無しにしてしまう、経年劣化と光の反射、グラデーションの失敗による平面的に味気ない風合い。これらの問題を解決するには、どうすれば良いのでしょうか。

https://note.com/towinforart/n/n527a0f77f8d3