食べ物の多様化や生活の利便性などによって、本来の生理機能が衰え心身の不調和が蔓延しています。肥満ややせすぎなども世界中で大きな問題となっているようです。そこで今回からこの問題にアプローチしてみたいと思います。肥満もやせすぎも大きな視点から見れば同じ問題だと思います。
本来の身体が持っている生理機能の低下が別の形をとっているだけではないでしょうか?同時にこの二つのことを考えていくのは混乱しやすくなるので、肥満を取り上げて考えていきます。やせすぎの問題も人体の生理機能から見ていけば同じような結果に導かれていくと思います。
まず最初に体重とは何なのか?から考えてみましょう。
多くの方が体重を落としたいと口にされますが、体重の何をどの程度落としたいのかについては、ほとんど何も考えていらっしゃらないように感じています。それゆえ無茶なダイエットを実行されてリバウンドしたり、心身の不調に苦しんだりされている姿を目にすることが多くなりました。
この講座の始めの方にも書いたと思うのですが、体重とはあたりまえのことながら、自分の大切な命を構成している全細胞の重さの合計重量ですよね。簡単に書けば総体重量=脂肪細胞重量+除脂肪細胞重量です。除脂肪細胞重量は、脂肪を除いた骨や内臓の全て、筋肉や血液など生命そのものの存在力が含まれています。この重さが減ってくることは体温の低下や生理不順、体力の低下などを引き起こし、各種の心身の不調になってくるのです。
私たちは食べなければ生きられない身体なのですが、何を食べるべきか?
炭水化物、脂肪、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどのバランスが大切なことは耳にタコが出来るくらい知っていらっしゃることでしょう。知っていても、つい忙しいから、便利だから、安いからと満腹感を優先させてしまう。その満腹感さえ狂った自律神経に左右されています。
毎日の食事から基本的に摂取したいのは、生命の鎖と呼ばれる50の栄養素なのですが、小難しくなりますし、それに囚われると嫌気がさしたり、サプリメントに頼ろうとしてしまいがちになりますので、現代栄養学的にはそういう考えがあるということだけ記憶してください。詳しいことは省きます。
私見ですが、サプリメントはどうしても必要な緊急時のみで、普通食を美味しくいただくことで自分の心身を安定させていくことが大切だと思います。
ちなみに「ダイエット」という言葉の本来の意味は「規則正しく食べること」であって、やせることを意味してはいませんし、それゆえ「ダイエット」とは一生を通じて本来食べるべきものを正しく摂取することなのです。一時的にやせればいいなどという安易な意識ではなく、「生き方」を根本から捉えなおしていく作業になります。
「食べ方」は「生き方」なのです。
「食べ方」の狂いは、そのまま「生き方」の狂いであるということをじっくりとみつめてほしいと切に願っています。「食べ方」の基本は、今までにお知らせしてきたものを参考にしてください。
つい余計なことを書いてしまいましたが、体重の話に戻ります。
体重を落としたいと思うとき、意識にあるのは総体重のことだけで、どの重さを何キロ落としたい、あるいは落としたということを点検する人が少ないようです。どなたも脂肪を落としたいと思っていらっしゃるのですが、食べる量を減らしていくと基本的な命の元である除脂肪量が落ちていきます。除脂肪は基礎代謝の基でもありますし、発熱源でもあるのですから、除脂肪重量は体温の低下を伴いますし、代謝活動が低下しエネルギー(生命力)が落ちていきます。
「やせる」ことは総体重に占める脂肪の割合を下げることであり、総体重をむやみに落とすことではないのです。このことを無視していると笑えない結果を招いてしまうでしょう。
ここで少し頭の体操(ゲーム)をして見ましょう。
仮に160センチメートルの身長で60キログラムのA さん、Bさん、Cさんがいたとします。
同じ身長、同じ体重なのですが、体重の内訳が異なります。体重の内訳はAさんが脂肪10キログラム、除脂肪50キログラム、Bさんは脂肪15キログラム、除脂肪45キログラム、Cさんは脂肪25キログラム、除脂肪35キログラムです。身長と体重は同じでも、体脂肪率が異なっていますので体形は明確に異なります。
決め付けることは出来ませんがこの数字から読み取れる全体像を想像してみると次のようになるでしょうか。(あくまでも想像ですよ。)
Aさんは体脂肪率16,7%で、除脂肪量が50キログラムですからハードなスポーツ選手がイメージされますね。筋肉質な体つきで意志が強く、ダイナミックな(?)性格。女性的な細やかさには少し欠けるところがあるかもしれません。自我も強そうです。自分をリラックスさせることが少々下手かもしれません。
Bさんの体脂肪率は25%で除脂肪量が45キログラムなら、性格や考え方が割りと安定しているでしょう。女性的な細やかさもあり、同時に人生を自分の力で切り開いていこうとするたくましさもありそうです。思いやりもあって友人も多いことが考えられます。バランス感覚も良く、あまり病気にもなりにくい体質でしょう。
Cさんの体脂肪率は41,7%で除脂肪量が35キログラム。完全な肥満体形のCさんの心は常に揺れ動いています。引きこもりになりやすいし、心身のバランスがとりにくく風邪なども引きやすいことが考えられます。生理不順で、自己否定になりやすく人生を前向きに捉えにくいかもしれません。喜怒哀楽の変化が激しく、ひとつのことに集中しにくい性格かも・・・
(上記3人のプロフィールは、過去2、000人の女性の体脂肪・除脂肪を調べ、心身の傾向を重ねて合わせて読み取れた情報をもとに、ラフに想像してみました。)
この3人が10キログラムの減量に成功したとします。但し無知なため、落とした体重は全て除脂肪重量だったと仮定してみましょう。
3人とも総体重は50キログラムですが、除脂肪重量がAさんは40キログラムになり体脂肪率は20%。
Bさんの除脂肪重量は35キログラムで体脂肪率は30%。Cさんの除脂肪重量は25キログラムで体脂肪率は50%となります。
Aさん、Bさん、Cさん共に体重を10キログラム減量したにも関わらず、体脂肪率は増えています。
体重を落とすことで、肥満したことになってしまいました。もちろんここまでひどい例は少ないかもしれませんが、数字の大小はあるにしても、この3人と同じような「ダイエット」をしている人の数は相当数にのぼります。
健康的に美しくやせたいと願うなら、大切な数字は除脂肪重量なのです。
明治・大正時代の人たちにはこの除脂肪重量がシッカリしていましたが、現代を生きる私たちの除脂肪重量は減っていく傾向にあります。命の基本ともいえる除脂肪重量の適正化なくして、心身の健康は手に入れることは難しいと思います。
健康的に心身のバランスをとりながら美しくやせたいなら、現状の体重内訳を知り、体形や性格、体調を整えてくれる理想の体重内訳を探り出していくことから始めましょう。過去私自身がカウンセリングした実例を紹介しながら、少しずつ体重の内訳バランスが人に与える心身の傾向なども書いていきたいと思います。