自由ということ、無敵の宇野亞喜良さん

先日、NHKラジオ第一で放送されている「すっぴん」という番組に宇野亞喜良さんが出演されていました。

ラジオを通した宇野さんのお声も素敵(*´艸｀*)

小説家の高橋源一郎さんがパーソナリティ。
インタビューはどんどん面白い方向に。

「宇野さんのイラストが好きな方は若い女性に多いと思うのですが、ご自身のファンについてどう思いますか？」

との質問に、

「あまり、意識してないというか、しないようにしています。
自分のターゲット層とか、そういうことを考えちゃうと・・・なんだか侘しくなっちゃって。」

と答えられていた宇野さん。
その「侘しくなっちゃう」感じ、なんだかすごく良く分かるな～と考え込んでしまいました。

ターゲット層を知る、意識するということはマーケティングの重要な要素のひとつだと思うのですが、「商売」というものを切り離して「創作活動」をされたいのだなぁと感じました。

まだ若い頃の売れていない時代のお話もされていましたが、音楽以上にイラストレーターという仕事はクライアントの希望に沿うものを提出しなくてはならない点においてシビアだと思います。
「制約」の中でたくさんたくさん絵を描いてきて、色んな方と色んなお仕事をしていく中で、
「絶対に曲げられない、変わらない、自分のスタイル」を見つけられたのだと思いました。

作品を作る時はその変わらない「芯」の部分から発進しないといけない。
他のところから発信してしまうと（「ターゲット層」とか「流行」とか）ブレてしまう。
ブレたものは満足いくわけがないので「侘しく」なってしまう。

これ、書きながら、自分に言い聞かせています。

わたしが尊敬する創作活動をしている人たちはみんなその「芯」を持っていて、活動に振り幅があってもちゃんと「その人のもの」になっている。
一番大切なこと。

でも・・・・それがカッコいいのは、人気者になったからなんだよね～・・・とも思うけれど

人気者である、ということと、本物である、ということはまた違ったりします。
両方に当てはまる宇野さんは無敵ですね。

画像は、2009年に黒色すみれが宇野さんに書き下ろして頂いた「片羽の天使のパバーヌ」のジャケットです。
曲のイメージで「自由に」描いて頂きました。
これは宇野さんがペイントした写真集「天使のパバーヌ」（写真は沢渡朔さん）にインスピレーションを受けて書いた曲で、それを聴いてまた宇野さんが絵を描くという、受けて戻して、また返して、みたいなコラボでした。

11/26発売の「Cosmopolitan」のジャケット絵は（正確にはクリアーケースにプリント）もっと自由で、テーマは「黒色すみれ」で。
宇野さんが思う黒色すみれを描いて欲しいとお願いしました。
10年分の黒色すみれのイメージの総集編になったのかな？と思います。
ケースのプリントはコラージュ的に村上キヨさんがバラしてレイアウトしたものですが、絵は一枚絵です。
付属の豪華フォトブックの方に原画がドン！と掲載されていますのでページを開くのをお楽しみに。

宇野さんのインスピレーションとイメージの広がりは無限大で、
でもちゃんと宇野さんなんです。
それは「芯」があるから。
例えば60年代のみゆき族の、レースやフリルや大きなリボンが。
これが解っていればどこまでも「自由に」なれる。
自分を見失うことはない。それは、信念というべきものなのかもしれない。

自分には「芯」があるかしら。
あっても、まだフワフワじゃないかしら。
何かを、誰かを気にして、曲がってしまいそうになっていないかしら。

心に違和感を感じた時は、そう自問自答する。
そうやって生きていけば、いつか宇野さんのように「何も考えないように」作曲できるかな。

なんか、難しい話でした