【蠢く聖水】29 | 相武万太郎オフィシャルブログ「六転び七転び八転びROCK。」(音楽、小説、酒)

相武万太郎オフィシャルブログ「六転び七転び八転びROCK。」(音楽、小説、酒)

ベッキーがテレビに出てるとチャンネルを変えてしまう男が、好きな音楽や小説を語ったり書いたりらじばんだりしています。音楽は洋楽ロックメインだったが最近はハロプロ大好きです。特にANGERME。

「その信者は、その材料に使うくらいしか使い道はないのか?」


「ええ。かつては実力があったようですが」


「誰なんだ、それは」


「江藤恵理子です」




ポーカーフェイスは保っていても、司からは無言の驚きが漏れていた。


「殺すこともあるまい」


「計画のためです。彼女の夫は、公安部外事課のエースなのです。

妻を引き渡すといっておびき出し、拘束します。彼らが掴んでいる情報をすべて吐き出させるのです」


「結婚していたのか」


その計画に、恵理子を殺す必然性はなかった。公安部のエースを飼い殺しにするためにはむしろ生かさず殺さずが都合がよいのも理解している。しかし、理屈抜きで殺したい。自分が作ったゴモラソドムによって―――。私利私欲のために自分をこの教団に入れたこと、そして結婚していたことを隠していたこと、すべてに怒りを感じていた。絶対に許さない。もっとも苦しい形で殺してやりたい。そんな思いがふつふつとたぎった。恵理子がかつて自分を利用したように、自分も利用できるだけ利用してやるまでだ。綿貫の描くゴモラソドム計画は、恵理子抜きには考えられないものとなっていた。

「実際のところ、彼らはどこまで知っているのか、気になる」


「公安、というより日本は殆ど知らないと思っています。

 むしろ、アメリカがどこまで把握しているのか、心配なのはそちらです」


「あの国は何でも首を突っ込んでくるからな」


「中韓同志で自滅してしまえば、我々の覇権もぐっと近づいてきます。

福音の会はもはや単なる宗教法人の枠では収まらない、非常に統率のとれた集団です。

ゴモラソドムによって中韓を殲滅させ、我々が新たな国家を築き上げるのは、もう時間の問題でしょう」


そして自分が教祖となるのも、時間の問題だ。綿貫はそうほくそ笑んだ。




(つづく)
※応援コメント、どうぞよろしくお願い申し上げます。
※以下より、登場人物メモです。ネタバレのおそれがあるため、
 以下閲覧注意です。





・的場英二:
S県警刑事局捜査1課所属。32歳。やせ形、筋肉質。伸長189センチ、体重78キロ。切れ目で高身長で一見もてそうな容姿をもつも、近寄りがたい空気を醸し出しており、友人も少ない。独身。ストイックで、禁酒・禁煙をしている。毎日8キロのジョギングが習慣。恋人は何年もいなかったが、事件を通じて恋に落ちる?

・江藤光太郎:
警視庁公安部所属。55歳。中肉中背。172センチ、体重75キロ。薄毛。妻恵理子は行方不明となり、失踪宣告した。娘の恵だけが生きがいだが、親子仲は悪い。粘着質のように仕事を進めることからハエ取り紙、公安部の略称「ハム」とあわせて「ハム取り紙の江藤」の異名をもつ。妻失踪後、仕事の情熱を失っていたが、今回の「福音の会」事件で妻が信者であったことを知り、情熱を燃やす。しかし、事件に配偶者が関わっている可能性があることから担当からはずされる(忌避)。それでも、独自に捜査を進めていたところ、的場と出会う。

・江藤恵
光太郎の娘。25歳。伸長162センチ、体重51キロ。父とは微妙な関係だが、父を嫌いなわけではない。目鼻立ちがくっきりしたかわいらしいタイプ。夜遊び・外泊を繰り返していたが、的場と知り合ってからは、真面目になる。母が失踪したことで、愛情に飢えている。自分のせいで失踪したのかと思いこんでいる。

・毒島寛
警視庁公安部所属。197センチ、体重87キロ。巨大な体躯。江藤とコンビを組んでいたが、江藤が担当を外されたことで、別の人間(中本重徳)と組む。しかし、江藤に同情する彼は、江藤から度々頼まれごとも、快く引き受けている。温厚で気さくな性格。

・杉本冴
S県警刑事局捜査1課所属。30歳、バツイチ。172センチ、54キロ。的場の仕事上の相棒。つっけんどんな対応しかしないのは、古傷が癒えていないからである。的場のことを気になりつつも、必死に一線をひく。女性と子供には優しい。



・綿貫博一
的場の同級生。眼鏡をかけており、ポッチャリ型。168センチ72キロ。おっとりした性格と信念を貫く強い面を併せ持つ。福音の会にハニートラップを仕掛けられた末、研究者としてからめとられることに。ゴモラソドムの開発者。研究者としてのエゴが人間としての良識を上回り、ゴモラソドムを開発してしまうも、良心に苦しみゴモラソドム消滅を図ろうとして組織に殺される。