RUIから宅配便が届いたのは、俺の誕生日の翌日のこと。
俺たちは記念すべき日に大ゲンカしてしまい、当日はプレゼントどころではなかったのだ。
開封してみると「昨日はごめんね。誕生日おめでとう
RUI」文面にあるアカンベが気になったが、そこはRUIの茶目っ気だろう。開封してみると、美味しそうなキャンディだった。
甘いものに目がない俺は、外箱を開封した瞬間からたちこめる、甘い香りにくすぐられた。こんなに気高い香りがするなんて、きっと食べてみたらほっぺが落ちるに違いない――。
俺は憑かれたようにキャンディの包装紙を開けて口に放り込んだ。すると次の瞬間、俺の体がみるみるうちに透明になってゆく。鏡をみるとどうやら俺は幽霊となってしまったようだった。
だがRUIが俺にかけた生命保険のこと、そして殺人のことも、このキャンディの甘さの魅力を前にすると、もはやどうでもよくなっていた。
ああ、死とはこんなに甘美な世界だったのか――。
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