【黒い薔薇】第1話 | 相武万太郎オフィシャルブログ「六転び七転び八転びROCK。」(音楽、小説、酒)

相武万太郎オフィシャルブログ「六転び七転び八転びROCK。」(音楽、小説、酒)

ベッキーがテレビに出てるとチャンネルを変えてしまう男が、好きな音楽や小説を語ったり書いたりらじばんだりしています。音楽は洋楽ロックメインだったが最近はハロプロ大好きです。特にANGERME。

実に奇妙な現場だったと、定年退職間際の野沢清は同僚に述懐した。





捜査一課一筋の野沢が、刑事稼業でもっとも寒々しい事件を問われると、

間違いなく【黒い薔薇事件】をあげる。





現場は都内某所のアパート。築年数は相当経過しており、昨年ついに解体され、高層マンションに生まれ変わったらしいが、

その跡地だからか怪事件があとを絶たない。





敷地内での小動物の集合死体や、失踪する住人、極めつけは半年間で三度の飛び降り自殺。





格安で分譲するも、その手の事実は契約にあたって重要事項説明義務があり、

誰しも尻込みしてしまう。







【黒い薔薇事件】自体は10年前の出来事であるが、後追い事件があるために、風化することなく生き続けている。





実は野沢は担当者ではなかった。





だからこそ、定年まで勤め上げることができたのだとうそぶく。







いや、実際のところ、あながち冗談でもないのだった。





担当者だった神奈川県警の矢吹真一は、30才という若さでこの世を去ってしまったのだから。













(第2話につづく)