小説【禁煙できない男】第3話 | 相武万太郎オフィシャルブログ「六転び七転び八転びROCK。」(音楽、小説、酒)

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ベッキーがテレビに出てるとチャンネルを変えてしまう男が、好きな音楽や小説を語ったり書いたりらじばんだりしています。音楽は洋楽ロックメインだったが最近はハロプロ大好きです。特にANGERME。

市川兄弟といえば、昔から近所で評判の双子だった。


出来のよい兄との競争に負けつづけた弟は、屈折した想いを暴力に変え、
地域最大の暴走族総長にのし上がった。



兄は順風満帆に進学し、警視庁のキャリア官僚。



弟の総長引退によってしばらく二人の競争はなかったが、
康雄の中では絶えずくすぶっていた。




負けなくない思いだけで禁煙をはじめたものの、
煙草を嫌いになれないだけに、
禁煙開始早々から苛々していた。



実家に帰る前に古本屋に立ち寄り、禁煙に関する本を買いあさった。



読んでみたものの、ニコチンの欲求がおさまらない。



幸い、実家では健雄と康雄以外の家族は喫煙者ではなかったが、
康雄は早くも軽々しく禁煙宣言したことを後悔していた。



ぶちのめしてやれば良かった。



陰でこっそり吸うということだけは、できない。



二人の競争は、とりもなおさず自分との闘いでもある。



30年もの間、虐げられてきた思いを一新するには、
これくらいつらいほうが爽快かもしれないと思ってこらえた。



健雄にしろ、何がきっかけか分からないが、
康雄以上に吸っていたのだから、そのつらさは尋常ではないはずだった。



つらいからこそ、
健雄は康雄にけしかけてきたのだ。



逆にいうと、今日健雄は康雄の帰省を待ち伏せしていたのかもしれない。



思いにふけることで、禁煙初日は無事に終えることができたのだった。



第4話につづく

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