幼少に生き別れた我が子が…まさか紫関亜弓だなんて。
我が子に恋愛感情を抱くなんて、そんなバカな。
言われれば面影がないわけでもないが、
本名を忌み嫌ったあの子が隠した理由は何故だろう。
私がまだ三十代前半の年齢で、時が止まったままの理由と関係があると知ったのは、
亜弓がLoverをお供えしながら、私に対する贖罪が聞こえたからだった。
「父さんを殺した私を許してください」
そうだった。
私はすでに、死んでいる。
実の娘の無邪気な悪戯が私の命を奪った。
亜弓は私からの呪縛から逃れようと、懸命に祈っていたのだ。
私の好物だった餃子を備えるために。
すべてを理解したとき、はじめてLoverが何故あれほど美味しいのか紐とけた。
私に対する想いがこめられていたのだ…
私に対する贖罪。
図らずも手に入れた名声を失うかもしれない恐怖。
私に対する愛情。
理解したうえで亜弓を見つめると、
棚の餃子を食べつづけた私が彼女を縛りつけているのだと感じた。
私はどうしたいのか、答えは決まっていた。
亜弓の作るLoverを広めるのだ。
この味を理解するには…
死
しかないだろう。
了