駅でしばらく、二人で話をした。

けど、それで帰るのがもったいなくて、もっと一緒にいたいと強く思った。


先輩から、もう少し飲もうと提案され、喜んだ。


二人で居酒屋に入り、また色々な話をした。


わたしは数ヵ月後に異動が決まっていた。

それについて、寂しくなると先輩は言った。

最近はわたしが不安定なので、心配だとも言った。

支えてあげたいと思ったと。

わたしが他の社員と話しているのを見ると、いい気がしないということも…。


そんなもろもろの話が、わたしをドキドキさせた。

先輩の意図は、わたしが思っていることと合っているんだろうか?


わたしの気持ちは、もう早い段階で、先輩に向いていた。


わたしの苦しさに気付いてくれ、そばにいてくれた。

わたしをかばってくれたことも、何度もあった。

その行為ひとつひとつが、わたしの支えになっていた。


先輩がいたから、わたしは仕事で、他の人に弱音を吐かず、がんばり続けられた。

全部、先輩のおかげだった。


先輩は、わたしが先輩にだけ、弱みを見せていたことも知っていたと思う。

自分が一番、わたしに近くて、頼られている存在であるということも、誇らしかったと言っていた。

初めて出会ったときから、わたしは先輩に頼り続けていたんだと今は思う。


そして先輩は聴いた。


付き合うか、と。

そんなことがありつつ、時は流れ、わたしは仕事の壁にぶち当たり、家庭もごたごたし、彼ともうまくいかないという日々に至った。


ひざに頭を乗せて泣いてから、わたしたちの関係には少し変化が見られていた。それはお互いが、よく分かっていた。


表面的には何も変わっていないけど、メールをよく交わすようになり、プライベートな会話も増えていた。



ある日、職場での飲み会があった。


わたしは相変わらず女一人で、飲んでいても色んなところから声がかかった。半ばホステス状態。

いじられ、仕事のことを相変わらず叱られ、ぐうの音も出ないくらいだった。


2時間があっという間に過ぎたころ、先輩と後輩が二人で飲んでいるグループに呼ばれた。でもすぐ、飲み会がお開きになり、ほとんど話せないままだった。せっかくゆっくり先輩と話せるチャンスだったのに…とわたしはがっかりした。


2次会に行こうか悩みつつ、先輩はどうするんだろうと考えた。


そのとき、先輩からメールがきた。


  ホームで待ち合わせで。


そこでわたしたちは適当に2次会を断り、こっそりと合流した。