その日から、わたしたちの秘密のおつきあいが始まった。
先輩と初めてキスをしたとき、わたしは自分が先輩をどれだけ好きだったかに気付いた。
無意識では、ずっと求め続けていた人。
距離が縮まったのはとてもうれしくて幸せだったけど、このつきあいは、1つ条件があった。
本命にはなれないということ。
それはしょうがないことだった。
でも、それはわたしにとって恐怖に近いものがあった。
大好きでしょうがない人に想いは伝わっているのに、お互い好きな気持ちがあるのに、自分は一生、一緒にはなれないということ。
怖かった。
キスの日から、わたしの心の中は先輩で満たされてしまい、彼のことはもう、考えられなくなってしまった。応えてもらえなくてもいいから、この人との時間を大切にしたいと、強く想うようになった。その日から、すぐに当時つきあっていた彼との”別れ”を考えるようになった。