昔、兄が背中に、大やけどを負ったことがあった。
すると、父が、友人から譲ってもらったという
熊の油を持ってきた。
熊の油は、茶色の油紙に包まれてあった。
それを、やけどしたところに塗っていく。
兄は、とても痛がっていた。
やけどの上に、ヌルヌルとした熊の油。
なんとも奇妙だが、民間療法だったのだろう。
不思議なことに、やけどは、ヒカリコ(ケロイド
状になること)になることもなく、きれいに
治ったのだった。
その後、私たち兄妹は、やけどをすることがあると
、熊の油を塗ってもらった。
昔々の、ちょっと不思議な
ちょっといい話である。