南部地方には、南部鉄器でできた風鈴がある。

鉄で出来た風鈴は、ガラスで出来た風鈴より、

高音で、それはもう、涼やかで、音を聞いて

いるだけで、涼しくなる。

 

目時(めとき)の隣に、三戸(さんのへ)と

いう駅があり、毎年、夏になると、駅のホーム

に木でできた格子に、20個くらいの風鈴を

ぶら下げる。

 

風が吹くたび、また電車が入ってくるたび、

それらが一斉に鳴り、

チリリン、チリリン、チリリロリーン

と、にぎやかだ。

 

あの音を聞くと、東北の夏がやって来たのだと

懐かしく思う。