子供の頃、家族でよくおばあちゃんの家に
遊びに行った。
おばあちゃんの家は、岩手県宮古市にあった。
昔ながらの大きな茅葺屋根の家だった。
家の前には、小さな小川があり、夏になると
そこで、すいかを冷やしていた。
家の前は、少し広い庭になっていて、村祭りが
近くなると、傘売りのおじさんが来ていた。
傘は、蛇の目傘で、子供用のを売っていた。
祭りの縁日で、お面や、風車を売っている
のと同じ感じだったのだと思う。
赤や、黄色、青など色とりどりの地に、花模様や
女の子の絵が描かれていて、とても華やかだった。
おばあちゃんの家にも蛇の目傘はあったが、
茶色で、大人用なので大きく地味なものだった。
お祭りで売られている子供用の傘は、とても
高かったのだと思う。
一度も買ってもらったことはないが、
おばあちゃんの家の庭先で、蛇の目傘が売られて
いて、そこに、近所の子供たちが、集まっていた
という光景が、ちょっぴり寂しくも、楽しい
思い出として残っている。