先週の激しい雨が続いた“梅雨のはしり”を過ぎて週末はやっと５月らしい爽やかな晴天に恵まれ、今週に入っても清々しい空気が心地良い穏やかな初夏の陽気が続き、世間では早目の“クールビズ”がスタートしたみたいで、ビジネスマンのノーネクタイスタイルを多く見かけるようになりましたが、暑がりで異常な汗かきの私は、せめて梅雨明けまではネクタイをキチンと締めた正統派スタイルでのコーディネイトを楽しもうと思っています。
このスーツをお借りした方は、６年前の秋からお付き合いいただいて「天神山流」の提案を気に入って洋服は勿論、シャツ、ネクタイ、ポケットチーフ、靴、靴下に至る小物までトータルで揃えていただいていて、長いお付き合いでそろそろ提案するネタも無くなりつつある中で、昨年より「ハンドメイド仕様」に移行しながら今まで以上に品質の高い素材を意識しながら選んでいただいた今シーズンの１着です。
この素材は、最近の輸入生地に魅力がなくなってきている中で、「メイド イン ジャパン」ならではの生地メーカー「三星毛糸」の得意分野と言える高品質コレクションの一つで、経糸に強撚したサマーカシミア、緯糸に細番手のキッドモヘアを使用し、カシミアのヌメリ感、ソフト感にキッドモヘアの優雅な光沢とシャリ感を合わせた、盛夏でも上品な装いを演出して頂ける、他では絶対に見かけない実用的な最高級品ではないでしょうか。
因みにこの方が今シーズンの２着目として作られたブレザーの素材は、「三星毛糸」のカシミア１００％のメッシュと、「葛利毛織」の自信作、スーパー１４０‘ｓのトロピカル素材のスラックスを合わせられ、今シーズンは優れものの「メイド イン ジャパン」でまとめられました。
モデルは、この方の体型とイメージに合っている「ＣＲＣＳ」（カラチェニ）を使い、３ツ釦段返り、スタンダードにフラップ付きのサイドベンツにして、スラックスは２プリーツで、ハンドメイド仕様ならではの総片返しのハンドコバステッチを入れました。
今回のコーディネイトは、ストライプのレギュラーカラーシャツに、クラシックな気分で小紋プリントのネクタイを締めて、千鳥格子のポケットチーフを華やかに挿して、靴はこの方が合わせて作製した「天神山オリジナル」の限りなく黒に近い濃い茶色のキャップトウで決まりですね。
原発事故の影響を受け夏場の電力不足対策の一環で施行される“スーパークールビズ”に反してという訳ではありませんが、サマースーツにネクタイをキチッと締めた「夏の正統派スタイル」の着こなしを提案し続けている弊店「ＴＥＮＪＩＮＹＡＭＡ」ですが、弊店をご利用いただいているお客様を見ていると盛夏でもスーツを着用される方が多く感じる中で、暑がりで異常な汗かきの私自身が猛暑に耐えられるかが一番心配をしているところです。