ウール&リネンのダブルブレスト | 天神山メンズスタイル

天神山メンズスタイル

天神山は、手抜きをしない本物の洋服を作り続けて40年、長く愛着を持ってお付き合いできる、時代に左右されない洗練された普遍のモデル、こだわりの正統派スタイルを提案し続けています。
京浜急行青物横丁駅より徒歩2分、赤煉瓦の建物です。
東京都品川区南品川5-8-21

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「2011年春夏商品」の第1回目の紹介です。

真冬の真っ只中、冬物を作る季節は終わりが近づき、そろそろ春へと気持ちが動き始めてきて、毎度ながら順序がおかしい紹介になりますが、春先に着るものを飛ばして真夏に着ようと思っている、私が選んだ今シーズンの1着からスタートさせていただきます。

新年明けて早や12日目となり、名実ともに一年で一番寒い時期の到来で、今週に入って各地で今季一番の冷え込みも記録更新しながら、今月は近年にはあまりない厳しい寒さが続きそうな予想の中で、寒がりで暑がりの変な体質の私の防寒スタイルもオーバーコートにシルクマフラーから厚手のカシミアマフラーと、カルピンチョからカシミアライニング付のペッカリーの手袋に変え、朝の通勤電車の中でも付けっぱなしの状態です。

弊店「TENJINYAMA」では毎年好評のヘビーウエイトの「アイリッシュリネン」素材を、今年こそは挑戦しようかと思いながら、苦手な夏に向かってつい軽めの素材へと気持ちが動いてしまう異常な暑がりで汗かきな私自身の悪い癖がまた出てしまい、微妙なミックスの色が良いし、夏でもダブルブレストに挑戦するしと、言い訳を自分なりに考えながら、今回も軽量な素材を選んでしまいました。

この素材は、イタリア・ローマの生地マーチャント「EUROTEX」社のウール55%&リネン45%混紡の目方が220gと軽量で、イタリアらしい鮮やかな17色ものコレクションの中から選んだダークブルーは、写真ではうまく表現できませんが、素材感を引き立たせる絶妙な配色です。

モデルは、私がダブルブレストを作る時にいつも使っている「CRCS」(カラチェニ)ではなく、弊社が扱っているモデルの中で一番クラシックなゴージラインが低く幅広の襟が特徴の前シーズンから好評で作る方が増えていて私自身も試してみたいと思っていた「RCSZ」(ローマンクラシック)を使い4ツ釦2ツ掛けのダブルブレストで、ジャケットでも使えるようにと3パッチポケットのサイドベンツにして、スラックスはスタンダードに2プリーツにしました。

今回のコーディネイトは、ラウンドカラーのクレリックシャツに、お気に入りで良く登場させているグレンチェックのネクタイを締めて、爽やかに麻のハンカチーフを挿して、靴は最近あまり履いていない古いタイプの「EDWARD GREEN」のキャップトウを合わせてみました。

年を越え1月半ばになると気分は春夏へと向かっていきますが、3月からスタートする春物だけを考えるとシャークスキンやサージ素材は現時点が種類が多く、前にも書いているように、冬物コレクションと言っても弊店や私が好きなフランネルやツイード素材の紡毛系が少なく、一般的には夏以外のオールシーズンで着用できるような薄手の素材が殆んどで、2月入ってから続々と入荷し始める新着の春夏素材はクールビズで着なくなる夏向き用の強撚糸や最近流行のモヘア混が中心になる為、春物は秋口か秋冬コレクションが多い今の時期に作るのが最適ではないでしょうか。

私が毎回挑戦しようと思いながら実現出来ていない、ヘビーウエイトの「アイリッシュリネン」素材はなぜか毎年早い時期から作る方が多く、今回も昨年11月にオーダーをお受けした方のスリーピース・スーツがそろそろ出来上がってくるし、今月作ろうと予定をしている方が何名かいるしと、温暖化が進み世界的に敬遠され気味のアイテムですが、「天神山流」ならではの「夏の正統派スタイル」には欠かせない定番素材ですので、今シーズンもしつこく提案し続けたいと思っています。