今回は、弊社の夏物の商品紹介では珍しく登場させる、ビジネススタイルでは定番のグレーストライプ・スーツの紹介です。
異常気象の続きか?、先週末から5月後半と思えない肌寒い陽気が続いていて、やっと昨日より平年の気温に戻り一般的な衣替えシーズンを迎え”クールビズ“がスタートしたみたいですが、弊店のお客様は夏でもビシッと上着着用でネクタイを締めて来店される方が比較的多いのに対し、異常な汗かきで暑がりの私は通勤では物入れとして使っている上着を店では着れなくなる最悪な季節が迫ってきています。
今回のビジネススーツの提案は、わざと“クールビズ”スタートの時期に合わせて載せた訳ではなく、夏でもスーツ着用のお仕事をされているお客様が今シーズンの1着として加えたものが出来上がってきたので、紹介させていただくことにしました。
この生地は、モヘア混ウール素材ではトップメーカーと言われているイギリス製「JOHN FOSTER」(ジョンフォスター)社の今シーズンおすすめのサラッとして皺になり難いウール100%のハイツイスト(強撚糸)で、ミディアムグレーにライトグレーのストライプの以外と少ない普通の配色を見つけたので、昨年作ったフレスコ素材のネイビーストライプに続き作ることにしました。
モデルは、この方の体型(肩幅と胸囲が小さい)に合わせて「LSCS」を使い、3ツ釦段返り、フラップ付きサイドベンツで、ビジネススタイルに合わせてオーソドックスなディテールにしています。
ちょっと話が反れますが、弊店「TENJINYAMA」3階の窓から見える銀座西五丁目交差点のみゆき通り角に「Brioni」銀座店が並木通りより移転して先週5月24日にオープンしたのをきっかけに、以前「信濃屋回顧録」(http://blogs.yahoo.co.jp/ginza645/33661522.html)で紹介している1982年製の麻のスーツを店内に飾り眺めていると、弊社が33年前にイタリアから技術者を招いて指導してもらって作製した当初の原パターンを復刻版させた「LSCS」(リスコ)モデルに似ているのを改めて感じます。
先日、今までに沢山の洋服を試されている方との会話の中で、洋服の命と言われる襟回りの作りとショルダーライン、胸の部分を立体的にするなど、細かく測って何回も仮縫いしても体に合わず悩まされてきたと言う話しを聞きながら、弊店の仮縫いナシのパターン・オーダーを試され多少の補正を加えるぐらいで、モデル違いで何着か作ってもなぜかピッタリ合っていて立体的な仕上りになるのが不思議だという話から考えてみると、今やイタリア国内でも効率化を図って時間をかけないもの作りの傾向の中で、弊社の工場は教えてもらった技術を頑なに守って時間と手間をかけて見せ掛けではないもの作りをしている結果が現れているのではないでしょうか。
今回のコーディネイトは、ラウンドカラーのクレリックシャツに、洋服が最近流行りの光っていない素材なのでわざと光沢のある朱子織の明るいトーンのストライプタイを締めて、同じ朱子織の千鳥格子のポケットチーフをパフで挿して、靴はオリジナルで出来上がってきたばかりの黒のフルブローグです。
前々回の商品紹介の時にお知らせした、店頭に置いてある弊社在庫分のお値打価格の生地はジャケット&パンツ用が好評で、夏用は秋冬物に比べ素材が薄いのと汗で消耗しやすい為に補充する方が多い中で一番人気だったのはトロピカル素材のライトグレー・スラックスですが他にも現物を直接ご覧になれますので、異常気象が続いていて今年はどうなるか分かりませんが、これから始まる長い夏に向けてお値打価格を利用して足りないものを加えてみてはいかがですか。