今回は、アメリカ製「FLORSHEIM」スコッチグレインの革を使用したロングウイングチップの紹介です。
前回「ボストニアン」のコードバン・サドルシューズを撮らせていただいた方に、2足目を持ってきてもらい懐かしい信濃屋での思い出を書かせてもらうことにします。
1980年頃、アメリカで購入されたみたいですが、大事に履かれ保存状態も良く、まるで新品を見ているようです。このモデルのコードバンも持っていて、靴コレクションの部屋まであるぐらい沢山の名品をお持ちのようです。
この頃の靴を処分してしまった私としては、羨ましい限りです。
私が入社した1970年代後半の横浜信濃屋で取り扱っていた靴は、「JONSTON & MURPHY」と「FLORSHEIM」のアメリカ製が中心で、その頃、この写真と同じ革(スコッチグレイン)を使ったプレントウやマホガニー色のコードバンを使ったプレントウとバンプ、タッセルスリッポンや7アイレットのキャップトウなど、私自身が信濃屋に入社して1~2年で最初に揃えた靴でした。
この頃のソールの厚い「IMPELIAL」は、土踏まずの所に左右3本ずつ鋲が打ってあり、ヒールに2重の鋲と三角形のスティールが2つ付いていたのが印象に残っています。
最近、ブームになって来ているトラッドスタイルには欠かせないモデルの靴なのですが、輸入靴ではあまり見かけません。
(アメリカ製「ALLEN EDMONDS」では継続して作っているみたいですが)
10年ぐらい前に信濃屋別注でイタリア製「SILVANO LATTANZI」にコードバンで作らせたことがありますが、この頃のアメリカ製とはちょっと違った雰囲気になりました。
近年、靴の価格上昇や変わったモデル、ロングノーズなどで、靴に対する意識が薄くなってきている中で久し振りに購買意欲がわきますが、現在では製造や販売もしていないので残念ですね。
今でも古いアメリカ靴のカタログを見ると素晴らしいコレクションがいっぱい載っています。洋服の傾向はクラシック回帰ですから、靴も同様に完成された昔のアメリカ靴を再現させてもらいたいものです。