(『人間革命』第11巻より編集)
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〈大阪〉 31
小沢は答えた。
「かなり証言もそろっているようですから、切り崩すのは、決して容易ではないでしょうな」
「有罪だとしたら、どのくらい入ることになりますか」
小沢は答えなかったが、別の弁護士が、首をかしげながらいった。
「いろいろな考え方ができますが、まぁ、最低六カ月は覚悟した方がよいでしょう」
伸一は、弁護士の言葉を聞くと憮然とした。
”私は、無実なのだ。それで罪に落とされてたまるものか。無実の罪は、当然、無罪でなければならない!”
伸一は、こう叫びたかった。戸田も、一瞬、むっとして表情になったが、すぐに笑いを浮かべて言った。
「ほう、泣く子と検察には勝てぬというわけですな。まぁ、皆さん、よろしくお願いしますよ。
裁判は、執念と忍耐を必要としますから、辛抱強く戦ってください」
戸田は、こう語ると、思いもかけないことを言いだした。
「今だから言うが、実は、今日、伸一が釈放にならなかったら、大変な騒動になっていたでしょうな。
大阪大会を、今日、開いて、埒が明かなかったら、この大阪で、全国大会をやろうと思っていたんです。
そのことを支部長たちに言ったら、彼らは有志を大勢引き連れて参加するから、ぜひとも大々的な集会にしてほしい、と言ってきた。
そうなれば、何十万人も、この大阪に集まることになってしまったでしょう」
弁護士たちは、目を丸くして、戸田を見つめていた。