功名心がなさしめた魔の働き | くにゆきのブログ

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今、自分が感動したこと、また知っていただきたいことを、主に記していこうと思います。

     (『人間革命』第11巻より編集)

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         〈大阪〉 15

 

 この事件の発端は、蒲田支部の一地区部長・大村昌人の脳裏に生まれた、邪念ともいうべき着想にあった。

 

 これは、時とともに明白になっていったのである。

 

 首謀者の大村昌人は、ある大手建設会社の秘書課に籍を置く、三十二、三歳の男である。

 

 彼は、仕事柄、顔も広く、入会早々から、会社のダム工事などの建設現場を回っては、折伏して歩いた。

 

 危険の多い重労働作業に励む作業員たちは、本社の要職にある彼の勧めにしたがい、相次ぎ入会し、月々、多大な折伏成果を上げていた。

 

 その実績は、実力とみなされ、短日月のうちに地区部長にまでなった。彼は年齢の割には、かなり大きな財力をもっており、行動も、万事にわたって派手であった

 

 建設業界という現実社会に身を置いてきた彼には、選挙は、決してきれい事の戦いではないという思いもあったようだ

 

 それだけに、学会がいくら公明選挙を叫んだとしても、建前としか思えなかったのかも知れない

 

 しかも、このたびの大阪の補欠選挙は、極めて厳しい戦いである。

 

 ・・・ 。

 

 大村は、地区の壮年や、二、三の青年部の地区幹部と話しているうちに、いつしか思いは飛躍し、ある決心をした

 

 ー 今、手もとにある百数十万の金で、思い切った運動をして応援し、自分の力で当選させてみたい

 

 大阪の選挙は、広宣流布につながる戦いであるはずである。それならば、何をしても、心にやましさなど感じる必要はない。

 

 現に、学会も懸命に勝とうとしているではないか。

 

 

 彼は、自分で気づかぬうちに、功名心にむしばまれていたといってよい。自分の功績を狙う名誉欲には、必ず落とし穴があるものだ。