(『人間革命』第11巻より編集)
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〈夕張〉 3
伸一は、七月二日の夕張大会の行動計画を、青年たちと綿密に打ち合わせながら、今回の事件の本質について語って聞かせた。
山本伸一は、この日の朝、一通の電報を東京に打った。
この六月三十日、東京・港区の麻布公会堂で、学生部の結成大会が開催されたのである。
ー 「新しき世紀を担う 秀才の集いたる 学生部の結成大会 おめでとう 会長先生のもとに 勇んだ巣立ちゆけ」山本伸一
この祝電が、学生部結成大会で読み上げられたのは、体験談の終わった直後であった。
大会には、およそ五百人の妙法の学徒が参集していた。
昨年九月、打ち合わせの会合をもった時、全国から集まった学生は、わずか六十人に満たなかった。
以後、青年部のなかで地道に懇談会や委員会を繰り返し、メンバーは奮起し、部員増加に励み、ようやく五百数十人の部員がそろったのである。
戸田城聖は、壇上から、にこやかに学生たちを慈しむ熱い視線を注いでいた。
”東大法華経研究会の、あの理屈屋たちも、ここまで育ってきたか。女子学生もかなりの人数だな・・・ 。
将来の社会のリーダーは、大学出身者が圧倒的に多くなるのは明らかだ。
妙法を護持したリーダー、すなわち学生部出身者の未来社会での活躍がなければ、広宣流布の実現は困難になるだろう。
今は、この五百人が大切なのだ。
願わくは、健やかに立派に育ってほしい”
やがて、拍手のなか、戸田城聖の登壇となった。彼の表情は、いかにもにこやかで、晴れ晴れとしていた。