(『人間革命』第10巻より編集)
155 完
〈展望〉 21 完
戸田は、現在の座談会が、形式に流され、組員の信心の育成の場になっていないばかりか、親しさの全く失われた会合になってしまったことを痛撃した。
「釈尊は、『法華経をたもつものであれば、立って仏が来たように迎えをせよ』と言われている。
いったい、三人の同志がおったら、喜んで話し合って、帰って来なければならない。たった一人でもよい。その一人の人に、本当の妙法蓮華経を説く。
この一人が大事なんです。
・・・その草創期の精神を忘れずに、組長、組員の方々を真面目に育てたもらいたい。
それを、組長教育もしないで、ふんぞり返っている」
戸田は、組織に巣くう官僚性というものが、どんなに人材を殺してしまうか、痛烈な批判を下してから、次のように結んだ。
「幹部になった以上は、もう腹を決めて、本当の仏道修行を、組座談会でしてください。そうして、本当に苦労した、磨き上げた幹部の一人ひとりになってください。
そして、この世の人生を、悔いなく、信念の人として、飾ってください。お褒めくださるのは御本尊様です。
人に”褒められよう”なんて思って生きているのは愚かです。また、人にいくら悪口を言われても、御本尊様に叱られないように、しようではありませんか。
これが、信仰の極理です」
地道なところの活動ー 仏道修行こそ、真実の人間革命があり、広宣流布があることを、語りかけたかったのである。
華やかな活動のみが 広宣流布に連なるとは限らないことを、戒めとしたかった。
今また、最先端の組座談会一本という新方針を発表したのである。
戸田城聖は、”これで準備は、万全を期して、ひとまず終わった”と思った。
学会精神の衰弱と、形式に堕する組織の官僚性とに、彼自ら、真正面から挑戦したのである。
(第十巻終了)