(『人間革命』第10巻より編集)
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〈展望〉 16
(つづき)
その偉大な仏法を、創価学会は、世界に弘めようと立ち上がったんだからな。
だからこそ、社会のあらゆる分野に、御本尊をたもった真に優れた人材を送り出していくのが、創価学会の使命なんだよ。
それらの一人ひとりの、偉大な人間革命の実践が、新しい世紀における人類社会に、偉大な貢献をすることになる。
政体とか、政権といったものは、長い目で見れば、その時代、その時代で変わっていくものだ。
そんな移ろいやすいものに、目を奪われてはいけない。
民衆自身に光を当てていかなければ、この厄介な社会を寂光土(法華経は、娑婆即寂光土の法理を説き、この苦悩に満ちた娑婆世界こそ、仏の住む清浄な国土であることを示している)化する広宣流布という仕事は、決してできはしない。
われわれの仕事は、今は、世間に誤解こそすれ、誰一人、理解しないだろう。それで結構。人目につかなくて結構だ。
しかし、いずれは世間が目を見張る時が、きっと来る。その時になって、初めて広宣流布という未聞の偉業を理解し、やっと讃嘆することになるだろう」
この時、山本伸一は、「雲海の着想」の疑問が、壮大な未来の光輝に照らされていることを感じた。
そして、彼の思索が、眼前の状況に阻まれ、未来への視界が開けきらずにいたことに気づいたのである。
「先生、今は、当分、今度のような支援活動を必要とする時代なんですね。究極の目標をしっかり見つめて、目をそらさず、着々と進んでいけば、それでよいわけですね」
「それはそうだが、今度の新しい展開は、あまりに教訓に満ちている。結論を急ぐのはよそう。
考えることが多すぎるんだよ。世間にどう映るか、それも考慮に入れなければならん。伸ちゃん、君も、よく考えてくれたまえ。厄介なことだが、これは、乗り越えていかねばならない問題なんだよ・・・」